ポストPC時代を主導するアップルの鍵は独自プロセッサー

Steve Jobs 1955-2011 アップル社に時価総額世界一の置き土産を残して 旅立ったスティーブ・ジョブズ 氏ですが、同社に残し置いたのはそればかりではないようです。

先ずは長期に渡るビジョンです。 これなくしてはアップル足り得ない企業としての道筋が示されています。 三国志下、死せる孔明の生ける仲達を走らせた如く、 粛々と従うだけでアップル社は当面如何なる艱難辛苦も乗り越えられるでしょう。

次にビジョンを実現する為の技術的方針です。 ビジョンもビジョンのみでは絵に描いた餅、 自称アイデアマンのほとんどが役に立たないのは、 思っただけで形にすることが出来ないからです。 勿論、これについてジョブズ氏は確りとした方針を示し置きました。

最後に…

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体制です。 ビジョンがあって、技術があっても、 実際に行動に移せる企業としての体制が整っていなければ機能不全に陥ります。 抜かりはありません。 然るべき体制は既に整っています。

以上を具体的事象で以て、 生前のジョブズ氏に近いとされる人物が証言している記事が配信されました。 TechCrunch の2011年10月10日の記事 AppleはポストPC時代向けチップに、エンジニア1000人を投入している です。 キーワードは ポストPC です。 これこそPC時代を作り出したジョブズ氏に相応しい次の長期的ビジョンと言えるでしょう。

そして技術的方針は 低消費電力且つ小型化 です。 小型化と言えば、家電といい自動車、その他、本邦のお家芸でした。 今はそれに低消費電力を加えてアップルの指針となっているようです。 ソニーの敗北理由iPhone軽視とエリクソンとの分裂騒動 (2011年10月7日記事参照)にも言及したように 嘗てのソニーを背を見て走ったジョブズ氏が覗えます。

そして体制として現実に既に プロセッサー開発に1,000人体制を布いています。 正しく蜀軍の軍師、孔明のように、 必勝の布陣を布いているのです。

本記事にも度々、

などでポストPCを意識した稿を起こしました。 しかし正直此処迄充実したプロセッサー開発体制を備えているとは思いませんでした。 それはアップル社をソフトウェア企業と見ていたからで、 中にもユーザーインターフェースに目を取られ勝ちでした。 しかし同社の肝は豊かなユーザーエクスペリエンス(経験)の提供にこそあり、 それはアップルエコシステムの中で提供されます。 エコシステムの循環に於いて 考えてみればプロセッサーは他者任せに出来ない なくてはならない主要技術なのでしょう。 プロセッサー設計はハードウェアメーカーに任せるものと言う 本ブログ運営者の先入観こそ責められるべき誤謬であったことを 紹介記事を閲して考えさせられました。

これからもまだまだ吾人を楽しませてくれそうな アップル社の体制が見て取れますが、 ならば司馬懿仲達の如き掌上で踊らされるも一興ではないかと思います。

3件のコメント

  1. ジョナサン・アイブ インタビュー~カーサブルータス2012年3月号

    去る年2011年惜しまれつつ物故したスティーブ・ジョブズ氏の設立したアップル社は今後も尚久しく人々に愛されるプロダクトを世に送り出し続けるでしょう。アップル社デザイン部門チーフ ジョナサン・アイブ氏そう確信させるのはスティーブ・ジョブズ氏の晩年、連れ添うように

  2. 指先が磨りへって気になるときはM570トラックボール

    亡きスティーブジョブズ氏が世にマウスという入力デバイスを紹介した時にはそれはそれは吃驚させられたものでした。しかしその晩年、氏はマウスを排除する方向に進んでいた感もあります。自ら世に普及させたものを惜し気もなく捨て去る、イノベーターの面目躍如たる処が覗え

  3. ジョブズ評伝を補完して倍楽しめる~メイキングオブピクサー

    画期的コンピュータ、マッキントッシュもそして代表的スマートフォンのiPhoneもこの人がいなければこの世に存在しなかったスティーブ・ジョブズ氏の評伝については本ブログでも何度かお伝えしました。評伝スティーブジョブズI・II本ブログに伝えた記事は以下決定版!評伝ステ

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