残念ながら老舗オーディオメーカー 山水電気株式会社 は昨日2012年4月2日、 東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ない、 同日に受理されたと発表しました。
山水電気の設立
同社は1944年12月に菊池幸作氏により開設された山水電気製作所が 1947年6月に山水電気株式会社に改組されて以来 多くのオーディオファンを楽しませてきた生粋のオーディオメーカーです。 本ブログ運営者も電気店のオーディオコーナーに sansui ブランドのロゴを見る度にワクワクさせられたものでした。
上場企業山水電気の終焉と負債総額
近頃はオーディオからも離れた所為もあり頓と名前を耳にすることもありませんでしたが、 久し振りに名前を聞いたときはそれは倒産の知らせでした。 同社は経営不振から2001年より 香港の嘉域集団有限公司(ザ・グランデ・ホールディングズ・リミテッド)からの 財政支援を受けるに至ったそうですが、 今回そのグランデ自体が2011年5月31日付には事実上の倒産状態となっており、 グランデからの資金調達も難しいものとなったことで経営の継続が難しくなっていました。 2011年12月31日時点の負債総額は2億4,765万円でした。
東京商工リサーチによると上場企業の倒産は…
本ブログでも2012年2月28日の記事 エルピーダ倒産とルネサスエレクトロニクス でお伝えした半導体大手のエルピーダメモリ社に次いで今年2社目とのことですが、 東証1部上場にして現在の従業員は5名でした。 負債総額も上場企業のそれにしては大きなものとは言えないでしょう。
現代のオーディオ世界
本ブログにカテゴライズするように オーディオの世界は今大きく PCオーディオ へと舵を切り始めています。
その中に存在感を示しているのが 本ブログ2011年9月14日の記事 ソニー発表の新ウォークマンとLINN(リン) で取り上げたLINN社です。 LINN社はまた本ブログ2011年9月17日の記事 高音質保証!麻倉式PCオーディオ~書評 で紹介したオーディオ評論家の麻倉怜士氏の著書 高音質保証! 麻倉式PCオーディオ(アスキー新書) 内で第5章で大きく取り上げられています。 LINN社は謂わばPCオーディオ時代の寵児と言っても良いでしょう。
イノベーションのジレンマ
WALKMANブランドを擁するソニーでさえオーディオ界での存在感は 今や高いものではありません。 一般的な方は携帯電話やiPodを始めとするアップル社製の端末で音楽を楽しみます。 そして高級オーディオの分野ではLINN社を始めとする新興メーカーの台頭が著しい状況です。
一時は日本の家電メーカーの製品が世界中に広く支持されましたが 今や見る影もないのは若しかしたらエルピーダ社の半導体メモリ分野と同じかも知れません。 ここでも同じく一世を風靡した成功が次世代への対応を遅らせた、 正しく イノベーションのジレンマ が働いてしまったのだと思います。
返す返すも今回の事案は残念でなりませんが、 まだまだこの悲劇は日本の他分野に及ぶことは充分考えられます。 以て他山の石とすべく日本のメーカーは我が身を鑑みて欲しいと切に思います。
山水、最近名前を聞かないと思ったら倒産ですか、残念です。
まったくです。
何だか寂寥感を感じます。