開業ジャパンディスプレイはグローバルリーディング企業足るか?

Sony XEL-1 株式会社産業革新機構(INCJ) 7割出資の筆頭株主となるべく2,000億円を出資した ジャパンディスプレイ が愈々計画通り船出しました。

ジャパンディスプレイ発進!

本ブログでも未だジャパンディスプレイの社名決定の前に記事にして、 当該企業が国内家電

  • 東芝
  • 日立製作所
  • ソニー
3社の中小型液晶事業を統合した新企業であることをお知らせしたのが の2記事でした。

ジャパンディスプレイの資本金は2,300億円、 株主構成は上記の通りINCJが70%、 後は3社が10%づつ持ち合うことになります。 規模として従業員数は当初の約7600人から1,000名以上減じた 6,200名と発表されています。

ジャパンディスプレイの事業開始についての報は…

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などともに2012年4月2日の記事に詳しく伝えられています。

二つの懸念

さて日本エレクトロメーカーの新しき船出に諸手を挙げて喜べるかと言えば なかなかそういう訳には行かないようで、 ネット上などには多くの懸念情報が散見され それはどうやら2点に纏められそうです。

肝煎り産業革新機構

一つは肝煎りで出資比率70%の産業革新機構は 2009年7月27日に設置されたばかりでまだ評価が定まっていないことです。 筆頭株主として適切な措置が出来るかが不安視される面もあるようです。 これと比較されるのが名前のよく似ている 株式会社産業再生機構 です。 この機構は実に上手く機能し国民に負担を強いることなく 目的達成して5年で解散してなお、 事業再生に活躍する元職員が多く存在する成功事例です。 従って名店を継いだ2代目の板前の如く なかなか一筋縄ではお馴染みさん舌を唸らせられるか、 即ち国民を納得させられるのかは難しいところでしょう。

エルピーダの悪夢

またもう一つはエレクトロニクスメーカーとしては 直近にエルピーダメモリの先例がネガティブなものとしてあることです。 エルピーダメモリ倒産に関しては本ブログにも2012年2月28日の記事 エルピーダ倒産とルネサスエレクトロニクス にてお知らせしましたが、 エルピーダメモリもその前身はNEC及び日立の一事業部でした。

その独立に関しては蜥蜴の尻尾切りと言う口さの無い人も多いようです。 即ちエルピーダに於いて元のメーカーから不採算部門が切り離され 本体が傷付かないような配慮が働いているため 新事業体は経営に於いてハンデを負っているのだという塩梅です。 このことを3社の中小型液晶ディスプレイ事業部を統合した 事業体であるジャパンディスプレイに暗示しての懸念の表出でしょう。

ジャパンディスプレイ新CEOの決意

此れ等の懸念がCEOの耳にも入ってくるのでしょう、 前エルピーダメモリCOOであるジャパンディスプレイ大塚周一CEOの 船出の際の言には以下のものがあります。

従業員の切実なる思いから、この統合につながった。 従来の親会社が“切り離したい”という、親の意向を受けた統合ではないというのが特徴だ。
という言葉ですがこれが返って周囲の不安を表していることを垣間見せます。

大塚CEOはまた

目指すは、日本発のグローバル・リーディング・カンパニー。 フラットな組織でスピーディーな意思決定を進めていく。
とも発言されており意気は軒昂で、 周囲の不安を吹き飛ばさんとの意向もあるのかも知れません。

その真意としては

有機ELは日本国内のメーカーが次々と撤退している。 しかし、日本には材料メーカー、設備メーカーなど、 優秀な尖った技術をもった産業、メーカーが存在する。 そういう意味でジャパンディスプレイがこの中小型において成功すると同時に、 日本国内の重要な産業が、 川上、川下の産業として再起してもらいたいという強い希望がある
といったものがあるようで 苦戦する日本エレクトロニクスメーカーの牽引役となるべく 強い決意が表れています。

確かに本ブログ運営者も強い興味を抱いている 有機EL(Electro-Luminescence:エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence:OEL) はソニーや東芝などが先行しながらも 時代は韓国のサムソン社寡占に流れてしまっています。 この流れを自らに引っ張って来ようという大塚CEOの 奮迅の意思に期待したく思います。

果たしてジャパンディスプレイ社は状況を覆し、イニシアチブを奪還し、 世界に於ける中小型ディスプレイ分野のグローバルリーディングカンパニー足り得るか? 是非此れ等巷間の否定的な噂を払拭するような快進撃を見せ 不安は杞憂であったことを証明して欲しく願うところです。