Google、Yahoo、Bingの地図データとゼンリン社

Yahoo!社が地図情報のアルプス社を2008年4月に吸収合併したことは 本ブログ2012年2月4日の記事 GoogleプレイスとYahooロコ~鎬を削る位置情報サービス にお伝えしました。 2004年12月に民事再生法の手続きを申請したアルプス社はYahoo!社に救済され 2005年1月に子会社化していた同社は2008年4月を以て解散となったのですが 地図作成作業ははなお脈々とYahoo!社として引き継がれているそうです。

IT企業と地図データ

GIS(Geographic Information System:地理情報システム: Googleマップの登場とGIS 2012年1月17日記事を受け オープンストリートマップ~地図情報を舞台としたIT覇権争い 2012年1月24日記事に 近年高度に発達し膨大な情報を扱えるようになったコンピュータに於いて 地図情報を基本としてその上に様々なメタ情報を付加することで 便宜に応じて簡便に必要な情報を取り出せるシステム とまとめました。) に於いては…

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高速な情報処理を可能とするコンピュータと共に地図情報は不可欠です。 従ってIT業界の雄が地図データを有する企業の取り込み、 連携を図るのは自然な流れと言えるでしょう。

Yahoo!の場合

アルプス社を吸収合併したYahoo!社の提供する地図サービスをも包含する Yahoo!ロコに於けるヘルプ頁の一つ リンク・転載・二次利用について を見てみましょう。 Yahoo!地図サービスの画面左下に表示される著作権表記が其処には以下のようにまとめられています。

  1. 地図
    1. (C)Yahoo Japan、(C)ZENRIN(株式会社ゼンリン)
    2. (C)Yahoo Japan、(C)OPeNBooK(オープンブック株式会社)
  2. 航空写真・衛星写真
    1. (C)AAS & NNK(アジア航測株式会社)
    2. (C)Pasco(株式会社パスコ)
    3. (C)KOKUSAI KOGYO CO.,LTD(国際航業株式会社)
    4. (C)Geoscience, NTT DATA, RESTEC /Included(C)JAXA(財団法人 リモート・センシング技術センター)
    5. (C)RESTEC / material (C)JAXA(財団法人 リモート・センシング技術センター)
Yahoo!社単独ではなく様々な組織が作成する地図データが利用されていることが分かります。

Googleの場合

Googleマップでオンライン地図サービスに革命を起こしたGoogle社では 本ブログ2011年10月28日の記事 Googleマップを使うと料金が掛かる? を記した際にははっきりしなかったGoogleマップのライセンスの購入ですが 記事以前に本ブログ運営者の入手した情報ではゼンリン社が単独で代理店を 務めると思っていましたので当該内容となっていました。

ライセンスの機能し始めた現在、日本に於いては代理店が確りWebページで指定されています。 そのWebページが Google エンタープライズ 販売 / ソリューションパートナー情報Maps&Earth タブになり、これに依ればPremier販売代理店にもPremierソリューションパートナーにも 株式会社ゼンリンデータコム が名を連ねており関連情報は Google Maps API Premier で提供されています。 ゼンリンデータコム社については本ブログでも2011年8月13日の記事 車でお出掛け前の渋滞チェックにドライブトラフィック 取り上げもしました、日本国内最大手の住宅地図メーカー ゼンリン 社の連結子会社で Wikipedia:ゼンリンデータコム では2012年2月17日現在 Googleとの提携では、日本で唯一、「Google マップ(企業向け)」の代理店販売をしている。 との記入がありますから多少情報も錯綜した経緯はあるようです。

但しGoogleマップを見ればその右下には確り著作権表示として 地図データ©2012 ZENRIN と明記されています。

マイクロソフトの場合

さてYahoo!、Googleと来たらこれまた地図サービスを持つBingを提供する マイクロソフト社に関して見て見たくなります。 オフィス系ソフトウェアを持つ同社では矢張り地図データは欠かせないようで、 2005年6月21日には マイクロソフト、日本地図センターの監修のもと、デジタル地図のパートナーソリューションを発表 なるリリースを配信しています。 ここで地図データの監修を務めているのが 株式会社マイスター財団法人日本地図センター ですが、オンライン地図情報サービスとの強い連関は見られないようです。

Bing Mapsについて見ると日経ITproの2011年6月2日のニュース Agoopが「Bing Maps」の再販権を取得 とあります。 Google社と似たサービスのライセンス販売かと思われますが記事に依れば AGoop 社は国内唯一の販売代理店とあり、同社サイト内の頁 Bing Maps Platform APIとは に於いても同義の記述が有りサービスの説明がなされています。

AGoop社が即ちBing Mapsを利用するに日本国内唯一の窓口となる訳ですが、 地図データに関しては事情がことなるのは実際にBing Mapsを見てみれば分かります。 例に依ってその著作権表示を画面右下に探すと日本近辺では

  1. ©2012 Microsoft Corporation
  2. ©2010 Zenrin
  3. ©2010 NVTEQ
が地図の縮尺により動的に表示されます。 確りゼンリン社が著作権者表示されています。

ゼンリン地図データの占める位置

事程左様にゼンリン社は日本に於ける地図データに於いて重要な役割を果たしています。 IT業界の三巨頭たるべき、Google社、Yahoo!社、マイクロソフト社が 日本の地図データに於いては挙ってゼンリン社の提供するものを採用しているのですから。

実はゼンリン社のサイトを閲すれば Webサービス採用実績 に於いて

主要な地図サイト・旅行サイトにおいて、ゼンリンの地図を月に一度でも使うことのある利用者は96.6%にものぼり
とされていて、その記述の下には本記事で上げた三社の他、 nifty及びgooが挙げられ 確かに殆んどの主要地図サイトで利用されている状況が覗えます。

マイクロソフト社のサイトではMicrosoft Windows Azureと言うサービスの導入事例の一つとして 2011年11月2日に NTT空間情報株式会社 が取り上げられています。 NTT空間情報株式会社 については NTTグループ内のGIS事業を継承し、2011年 7月に設立された と冒頭に紹介され、NTTグループとしてもGIS事業を統合して注力していく様子が垣間見えます。 マイクロソフト社のクラウドを利用してGISコンテンツを展開していくと説明されていますが 網羅性と高精度が特徴の地図データをネット経由で配信する との言及もありますので楽しみな導入事例ではあります。

同時に本ブログでは忘れることの出来ない オープンストリートマップ もあります。 此方はマイクロソフト社の支援を受けてはいますがオープンソースプロジェクトで 集合知に依り地図データを作り上げようとする試みです。

地図データは日本国内ではゼンリン社の活躍が目立ちますが 勿論、他事業者も地図データを取り扱う組織はあり、 彼等が競争することで地図データが、GISが、 そして位置情報サービスが吾人に有用なものとなってくれることを期待したいものです。

1件のコメント

  1. 浅知恵で地名を変えるべきではない理由~Yahoo!G-Banz

    デベロッパーネットワークTech Blogの2012年2月 3日の記事防災・減災にAndroidアプリ「G-Banz」を役立てようで紹介されるAndroidアプリG-Banz(じーばんず)はとても面白い試みだと思います。一言でアプリを表すには地盤採点アプリとされます。地盤採点アプリG-BanzG-BanzはY

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