UltraBookとは?MacBook Airに劣る問題点と武器

Ultrabook(ウルトラブック) とは米半導体メーカーの Intel(インテル) 社が今年2011年5月31日の Computex 2011 で発表した同社の新しく提唱するノートPCのカテゴリーです。 同社は2012年末までにモバイルPCの世界市場に於ける4割をUltrabookが占めると予測していますが、 飽く迄同社の希望、目標値であることは確かでしょう。 しかしそう豪語するだけあって同社の力の入れようは可也のもので、 となればCPUの主導者たる同社の注力は他社に大きく影響を与え この予測は現実性を帯びたものになります。

このような新カテゴリーの提唱と言えばマイクロソフト社の UMPC(Ultra Mobile PC) があるでしょう。 2006年3月に同社が詳細を発表したPDAや携帯電話などとノートPCとの間を補完する 超小型パソコンの規格でノートPCと同等の性能を持ちながら携帯性を更に増したものとされます。 また、Intel社が提唱に迄は踏み込んだ発言ではないものの過去2008年3月に 自社CPUのAtomとの関連に於いてインターネット利用に特化した低価格モバイルパソコンを ネットブック と呼びましたが、今回のUltrabookはそれを鑑みてもいるのかも知れません。 因みにUMPCはネットブックとして見事に結実しましたね。 本ブログ運営者もASUS社の製品 EeePC S101 を愛用するもので、姉妹ブログ ホームページ作成浜松Tips には ネットブック としてカテゴライズしてもあります。

5月の発表時点で既に同カテゴリーの範疇として ASUSTeK Computer Inc. (ASUSの発音についてはアサス、エイサスなど様々な使われ方をしますが、一応は日本法人の名称より アスース で構わないようです)の UX21 が製品として公表されており、 それが6月のプレビューを経て実際に10月11日に ZENBOOK として発表されもしました。

また、それに先んじること…

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日本国内では東芝が2011年9月29日に 世界最薄・最軽量のウルトラブック「dynabook R631」などの発売について を配信しており、 中国ではレノボ社が2011年10月13日に IdeaPad U300s を配信、 また台湾Acer(エイサー)社は9月27日に Aspire S3 を11月に日本国内発売すると発表しています。

インテル社の当所の発表に拠れば Ultrabookカテゴリーの定義とは 厚さ20mm以内、タブレット型PC感覚で使用でき、機能面では最新のノート型PCと同等で 価格も1,000ドルを切ると言うことで、 多少の齟齬はあるものの四社ともそれに近い条件は満たしているようです。

さて以上が大凡Ultrabookの概要と実製品になりますが、 一瞥して見てピンと来る方も居られるでしょうし、 一部リンク先記事にはあからさまに対抗機種としての名前が書かれています。 それはアップル社の Macbook Air(マックブックエアー) です。 薄くて軽くて長時間駆動可能で、其の場で即起動出来る端末、 これは正しくスティーブ・ジョブズ氏が同製品を封筒から取り出して見せたプレゼンでの印象そのものです。 2008年1月15日サンフランシスコモスコーニセンターウェストホールMacworld Conference&Expo基調講演でSteve Jobs氏が紹介するMacBook Air 従来のノートPCを扱っている儘では自社のCPUを使用するアップル社のシェア拡大に因り CPU市場の支配力を失うと考えたIntel社がその事態を恐れて打ち出した新カテゴリー、規格とも言える訳です。

ところが残念ながらこの新カテゴリーはMacbook Airに比して重大な欠陥、 と言えば御幣がありますので、アップル社のMacbook Airがこの対抗新カテゴリーに対しては 大きなアドバンテージを有していると言い換えましょう。 それは本ブログでは何度も出て来たキーワードでもあります、 アップル・エコシステム の一環にMacBook Airが組み込まれていることです。 アップル社の製品は勿論一つ一つが魅力的でもありますが、 全体として一つの生態系をなしていると考えられます。 例えばiPad購入者はiPhone既利用者である場合、 慣れ親しんだ操作系が其の儘使えますし、 MacBook Airに場を移してもそれは直感的に応用可能に構築されています。 操作系だけでなく機器としても連携でも iPod TouchはApple TVのリモコンとしても利用出来、 またiPadと合わせパーティプレイが楽しめることは2011年10月10日の記事 ゲーム業界を震撼させるParty Play~Apple TVとREAL RACING 2 でもお伝えした処です。 本ブログ運営者は アップル社製品は世界観を共有している と断じて良いと考えています。

翻ってUltrabookに於いては基本的にWindowsパソコンですから マイクロソフトの論理で構築されたフィールドです。 これと連携するに勿論今やWindowsフォンは用意されてはいますが、 今の処シェア、各Windowsパソコン生産企業の扱い製品から考えて 何某かの処理を施せるのはAndroid(アンドロイド)スマートフォントならざるを得ないでしょう。 これはGoogle社の論理で作られた基本ソフトウェアですから パソコン、スマートフォン間のシームレスな連携はなかなか難しい話となります。 Ultrabookは謂わばスタンドアローン、 一人で立たざるを得ない立場に今の処立たされていると言ってもいいでしょう。 更に言えば新カテゴリーはiPhoneとの方が軽やかに連携される可能性もあります。 従ってこのカテゴリーは下手をすれば Macbook Airモドキ と化してしまう可能性もあります。 その陥穽に落ちれば後は価格競争しかなくなります。 そのようにして本ブログ2011年10月29日の記事 アップル社の驚異的な粗利を見る、iPadは4割、iPhoneは何と7割! なる状況が現出して来たのだとも考えられます。

しかし、とは言え強力な武器も兼ね備えています。 それはWindowsソフトウェア資産です。 アップル社のパソコンを所有していない者に取っては パソコンをアップル社に代替すればソフトウェアは一から購入し直しです。 Windowsパソコンであれば今迄に購入したソフトウェアが大凡は利用出来ますから 勢い次もWindowsとなってしまう訳で、 実はどのUltrabookが良さそうか物色する本ブログ運営者でもあるのでした。

しかし孰れコンピューティング環境、ソフトウェア資産がクラウド上に移行すれば Windows機のその資産、武器も役に立たないものとなることが予想されますし、 それはそう遠くない将来でしょう。

MacBook Air Introduction by Steve Jobs
2008年1月15日サンフランシスコモスコーニセンターウェストホール Macworld Conference&Expo基調講演で Steve Jobs氏が紹介するMacBook Air