Instagram(インスタグラム)を10億ドルで買収し大きな話題となったのは余りに多くのメディアで喧伝されているため、最早ニュースを引くまでもないでしょう。買収の発表は現地時間で2012年4月9日のことでした。
買収金額比較
10億ドルは現在日本円にして約810億円になります。本ブログの2011年10月31日の記事企業向けDropbox for Teams発表とiCloudの宿縁に於いて故スティーブジョブズ氏がDropboxに持ち掛けた買収提案ではその金額は数10億円、2011年8月16日の記事Googleがモトローラ・モビリティを買収ではGoogleの買収案件を2件、YouTubeは16億5千万ドルですから現在約1,300億円、モトローラモビリティは125億ドルですから現在約1兆円、でした。今回のFacebookの買収案件は大型には違いないですがGoogle社と比較すれば吃驚するような額でもなく、宣伝としての費用対効果は高いのかもしれません。インスタグラムは独立したサービスとして継続されると言いますから若しかしたら本当に宣伝が目的かも…。
インスタグラム買収の意味
インスタグラム社が提供しているのは写真共有サービスです。
現在会員は世界で3,000万人、Facebookユーザーと被る部分も多いと考えられますから数億人規模で会員を抱えるFacebookが新規ユーザー獲得を目論んだ買収でないことは明らかでしょう。インスタグラムはiPhoneにアプリを提供しており、数種類のエフェクトが標準で装備され、iPhoneで撮影した写真をその場で趣き有る写真へ加工してネット上で共有することが出来、人気も高いサービスです。
インスタグラムは現在社員は僅か13人ですから1人あたり約62億円の価値が付いたことになります。収益性も正確には公表されておらずネット上ではITプラットフォーム企業への譲渡目的での起業達成などとも言われており、これは現在インターネットビジネスの主なるビジネスモデルともなり掛けているようです。即ち、大企業に欠ける俊敏性で発想豊かなサービスを提供することで人気を博し
高まった企業価値を金銭的に大企業を以て還元する、そして大企業は己の弱い部分を金銭的に補完するというエコシステムとなっているものと考えられます。
インスタグラムはiPhoneに留まらず頃日Androidスマートフォン用にもアプリを提供したばかり、そしてthe BLOG HERALD日本語版で知らされるFacebookが買収したInstagram、アップストアのダウンロード回数が1位になる(2019年3月4日現在記事削除確認)という本日2012年4月12日配信のニュースでは、今回の買収案件がFacebook、インスタグラム双方に周知を図る意味での相乗効果を的確に齎してもいることを伝えてくれます。
今回の買収目的が奈辺に真実があるかは判然しませんが、本ブログ運営者としては2011年10月15日の記事Facebook CEO Mark Zuckerberg氏に見る指標の変化に見られるMark Zuckerberg(マークザッカーバーグ) 氏のユーザー数に代わる新たな経営指標、Sharing Growth(情報共有件数の成長)には適っているものではないかと思うのです。
ピンタレストとは?
写真共有サービスは何もインスタグラムに限ったことではありません。今全米で注目されている写真共有サービスにPinterest(ピンタレスト)があります。写真のピントと興味を示す英語のinterestの複合造語でしょうか?
そうであれば名は体を表すとばかり実に上手いサービス名だと思います。
ピンタレストを本ブログに初めて扱ったのは2012年2月13日の記事Gumroadはデジタルデータのネット販売の仕組みを変えるか?であり、それもメインではありませんでした。しかしその一デザイナーが大いに話題を呼んだサービス Gumroad をローンチしたことで分かるように日本でも大きな潜在価値を有しているのは間違いないでしょう。
日本ではまだまだ周知の図られてはいませんが、既に全米では多くの人々の親しむサービスとして地位を確立しています。その証拠が米アマゾンのサイトに現れているのです。下の図を見て下さい。これは米Amazon.comのKindle Fireの商品詳細ページですがその右下済みにこの商品をシェアすべくソーシャルメディアのアイコンが配される中に、何とFacebook、Twitterと並び表示されているのです。
最早これを見れば何をか謂わん哉、ではないでしょうか?
YouTube創業者コンビの提供するZeen
そしてまたITmediaニュース2012年4月9日の記事YouTube創業者コンビ、ソーシャルマルチメディアサービス「Zeen」を始動を見れば、YouTubeと言う今や知らぬ人が珍しいサービスを立ち上げたお二方が何やら新サービスを用意している模様、記事がプライバシーポリシーの内容から推測するには、マルチメディア共有機能が中心の上に紹介したPinterstのようなサービスになると推測されています。
YouTubeファウンダーでるチャド・ハーレイ氏とスティーブ・チェン氏については本ブログでも2011年9月29日の記事要注目YouTube創業者買収Deliciousの新展開でお二方がGoogleを離れて設立したAVOS社がソーシャルボタンの嚆矢とも言えるDeliciousを買収した案件と共に紹介しました。まだ2012年4月7日の時点で用意されているのは具体的なアプリ等ではなくWebサイトのみに留まるようですが、目の利く二人が乗り出したとあればその業界が活気付くのも必然と言えるでしょう。
日本発の写真共有サービスも含め戦国時代へ突入
そして日本には本ブログ2012年3月7日の記事縦横スライドが楽しいiPhone写真共有アプリ~slidropで紹介したミツバチワークス社の提供するslidrop(2016年サービス終了確認)があります。若年層、特に女性をターゲットとして大いに受けている写真共有サービスで日本製品ならではの気の行き届いた作りとなっています。何某かの機会にターゲット層が広がれば充分大きなシェアを取れる可能性のあるiPhoneアプリでしょう。
国内外併せ多くのサービスが乱立し戦国時代に突入したとも思える活況を呈する写真共有サービスは以上、見て来たように予断を許さない状況にあり、さてこれからどのような展開を示すか実に楽しみなことです。