紆余曲折が有りましたが 本ブログでも度々お伝えしたきた エルピーダメモリ株式会社 の買収が決まったようです。
本ブログ関連記事
本ブログに今年2012年、 エルピーダの経営不振から倒産迄を扱ったのは以下記事に於いてでした。
- DRAM世界シェア3位のエルピーダ経営危機~メモリーの種類(1月8日)
- エルピーダ、NECトーキンそしてSUMCO~凋落するハイテクもの作り(2月2日)
- エルピーダ倒産とルネサスエレクトロニクス(2月24日)
米マイクロン・テクノロジー
このエルピーダの買収事案が昨日2012年5月5日に伝えられました。 DRAM製造販売世界第4位の米 マイクロン・テクノロジー(Micron Technology, Inc) が5月4日の2次入札に於いて業界第2位の韓国 SKハイニックス や米中のファンド連合を斥けたのでした。
これによりマイクロンはエルピーダの管財人から週明け5月7日以降に 優先交渉権をに与えられる予定で 詰めの協議に入るのですが、 2000億円規模を投じて買収することになるものと見られています。
実はエルピーダは倒産前からマイクロンとは包括提携を目指しており、 マイクロン側に不幸な事故等もあり頓挫していた事案が 買収が実現すれば元の鞘に収まる格好になり、 上記のSKハイニックス社を抜き サムスン電子 に次ぐ業界第2位の位置を占めることになります。
半導体メーカーそれぞれの思惑
支援企業選択の2次入札の件に関する態度は SKハイニックス社では事前の4月26日に金副社長が 慎重な対応とる旨のコメントを残していました。 この消極的な姿勢とは対照的に社債発行に依る資金確保など 積極的な姿勢が鮮明となっていました。
この2社に米国と中国の投資ファンド連合を加えた3陣営で 5月4日の2次入札に向け様々な駆け引きが展開されてはいましたが、 落ち着くべきところに落ち着いたのかも知れません。
マイクロンに取っての利得
ブルームバーグではエルピーダの倒産が明らかとなった数日後の2012年2月28日に 米マイクロン:エルピーダ破綻で最大の勝者に-工場取得も なる記事を配信しています。
当該記事に於いてはエルピーダの倒産で最も利益を得るのは 今回買収したマイクロンであるとしています。 何やら些かミステリー小説じみた仕立てになっていますが、 その言う処の利益を挙げれば主には以下の2つにまとめられます。
- ライバル企業にとっては工場を割安に取得するチャンスであること。 これは保有現金を上回る規模の買収のために債務を抱えるより、 生産能力を割安に取得するというマイクロンの戦略にも合致する。
- DRAM業界上位のメーカーが去ることで、 他社は生産の管理がやりやすくなり、市況の変動を抑えられる。 工場を生産停止にしたり、他の半導体の生産のために利用したりすることで、 供給過剰を緩和し、業界全体の損失を抑えられる。
マイクロンに取っては業界に於いて 充分に勝算の図れる買収案件であるのでしょう。
懸念される日本のハイテクものづくり
しかしこれによって本ブログの1月8日の記事にお伝えしたように 経済産業省や各金融機関が救済の方向で進んでいた理由である 国内の半導体産業の空洞化も進んでしまうことになると言う懸念が 一層現実化を帯びてしまうことになるのは避け得ようのないところとなりました。 本ブログの2月2日記事には転換期にあるとした本邦のハイテクものづくりですが、 確かにそのままの存続は有り得ないにせよ、 このまま根元から消えてなくなることがないよう望まれます。
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