DRAM世界シェア3位のエルピーダ経営危機~メモリーの種類

photo credit: Manabu Shimohira via photopin cc
2011年々末から2012年々始に掛けて日本では唯一という業態を持つ 或る企業が窮地に立たされているニュースが飛び交いました。 それは日本で唯一のメモリ専門メーカーであり、 DRAMのシェアで現在世界第3位である エルピーダメモリ株式会社 です。

同社は2009年のリーマンショック時の影響に於ける 社債償還や借入金返済で4月初めまでに1,700億円超の資金が必要である処、 打ち続く円高とDRAMの急激な価格下落で主力業務で利益を出せない状態でいます。 関係各社への出資要請や販売代金前払い、 更には経済産業省や金融機関も交えた上での他社との経営統合を含む抜本的な再建策なども検討されていますが かなり厳しい状態にあることは間違い有りません。

エルピーダの窮状を報じる年末年始の各紙

此れを伝える年末年始のニュースが以下…

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挙ってその厳しい状況を伝えてくれています。

エルピーダ救済が望まれる意味

日の丸半導体メーカーエルピーダ株式会社は 1999年日立製作所と日本電気のDRAM事業部門の統合により設立されたNEC日立メモリが前身の 唯一の国内半導体専業メーカーです。 それが災いしてウォン安の追い風を受けるサムスンに比し長引く円高に喘ぐ状況となる訳です。

世界第3位のシェア、20%弱を有していても40%を保持するサムスンの如き スケールメリットを活かせないDRAMという製品の厳しい状況もマイナスに働いているでしょう。 しかし産業の米とも言える半導体メモリの若しエルピーダを失うことに拠る寡占が進めば、 特に国内の電機メーカーには喜ばしい筈がありません。

国内の半導体産業の空洞化も進んでしまうことになると考えれば 経済産業省や各金融機関が救済の方向で動くことも肯んじられます。

半導体メモリメーカーの差を招く製造製品種

さて斯様に産業に重要な役目を果たす半導体メモリーのメーカーに於いて 財務体質や本拠を置く国家の状況以外に企業業績に差を生ぜしめる要因は 実は得意とする半導体メモリーの種類にあります。 半導体メモリーと一口に言っても様々な種類があり、 世の動向に因って製造メーカーの存続を左右する迄の要因となり得、 エルピーダに於けるDRAMは難しい状況にあると考えられます。

上記ロイターの1月5日の記事中にはエルピーダ救済に言及する東芝社長が掲載されますが その東芝が得意とし注力もしているNAND型フラッシュメモリでは価格低下も想定内、 去年本邦にも元年とされるスマートフォン、タブレット端末の普及に伴い、 手堅い収益維持に貢献しており、それはDRAMと同時にNAND型フラッシュメモリをも扱う 韓国のサムスン電子にも言えるのです。

半導体メモリーの種類

半導体メモリーには記録情報を電源を失っても保持出来ないもの、出来るもので大別出来、 前者を揮発性メモリ、後者を不揮発性メモリと呼びます。 前段のDRAMは揮発性メモリに、 NAND型フラッシュメモリは不揮発性メモリに分類されます。

近年ではパソコンなどでも外部記憶装置としてHDD(ハードディスク)の代わりに 半導体メモリーが使用されることが増えて来ました。 これに於いては電源を落としても記憶が保持される不揮発性メモリである必要がある訳で、 このような処にも世の動向に因り必要とされる半導体メモリの種類が異なって来ることが窺い知れます。

DRAMとは?

DRAMとはディーラムと一般的には発音される Dynamic Random Access Memory の略称です。 情報はキャパシタに蓄えられた電荷に保存されますが、 この電荷は時間とともに失われるために常に電荷をリフレッシュし続けなければいけません。 常に動いていることからダイナミックという語彙が名称に用いられます。

一般的にこの動作原理から高密度化、即ち小型化が可能ですが、 消費電力が大きなものとならざるを得ません。 スマートフォンやノートPCでも省電力化が要求される中に特性としては厳しい条件になります。 また同じく揮発性メモリに分類される SRAM(Static Random Access Memory) より速度的に劣ることも現代には辛い性質かと思います。 揮発性メモリであることでは長期に渡る記録の保存には向かず、 作業時、一時的な保存用の記憶装置として用いられることが多い様です。

経営的有利に働く半導体メモリ

上にも書いた様にサムスン電子や特に東芝では製造する NAND型フラッシュメモリが世の動向を鑑みた上で経営上有利に働いています。 2011年4月22日にはEETimes Japanから 「ニンテンドー3DS」を分解、富士通セミコンの独自メモリの搭載が明らかに が配信され閲すればこのことをよく示す事例に言及されています。

記事に於いてはUBM TechInsights及び 米国の市場調査会社であるIHS iSuppliがニンテンドー3DSの分解調査を実施したところ、 富士通セミコンダクターの独自メモリ FCRAM(Fast Cycle RAM) の搭載が明らかになったそうです。 これは供給を受ける任天堂に取っては有り難い話ではなく なんとなれば唯一の調達先富士通セミコンダクターに問題が発生すれば 安定調達に支障を来たしますし、 当然ながら価格支配力も失いコスト低減も制限されるからです。

任天堂に取っては複数のサプライヤーから供給を受ければ問題ないのですが そのリスクを差し引いても高速なメモリが魅力的だったのではないかと推測されています。 そしてLPDDR2 DRAMと言うメモリーに於いては 正しくこの複数サプライヤーの一つとして サムソン電子やDRAM世界シェア第2位のハイニックス半導体と並び エルピーダの名前が挙げられているのです。

逆に富士通セミコンダクター側から見れば 価格決定権に於いて任天堂の優位に立ちことが経営的に有効に働くでしょう。 エルピーダにはこのような施策が必要だったことは明らかで 勿論様々な対策を打ったにも関わらず奏功せずして 本記事に表される様な現状を招いてしまったものでしょう。 エルピーダ救済が望まれる意味を鑑みても 出来得れば何某か上手い方向に動いて欲しいものだと思います。

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「DRAM世界シェア3位のエルピーダ経営危機~メモリーの種類」への2件のフィードバック

  1. エルピーダ、NECトーキンそしてsumco~凋落するハイテクもの作り

    一昔前は日本のお家芸だったハイテクものづくりが近年冴えません。止まる処を知らぬグローバル化と新興国の圧力がある所為でしょう。世に配信されるニュースにも余り明るい話題を聞かない感があります。エルピーダメモリ本ブログに本邦唯一の半導体専業メーカーエルピーダメ

  2. 米マイクロンがエルピーダ買収、業界第2位へ

    紆余曲折が有りましたが本ブログでも度々お伝えしたきたエルピーダメモリ株式会社の買収が決まったようです。本ブログ関連記事本ブログに今年2012年、エルピーダの経営不振から倒産迄を扱ったのは以下記事に於いてでした。DRAM世界シェア3位のエルピーダ経営危機~メモリーの

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