日本メーカー連敗理由をジョブズが語る~過剰マーケットイン

アップル社ロゴ+スティーブジョブズ いつか何処かで耳にしたマーケティングの話です。 あるメーカーが新製品の色を決めかねてユーザーグループインタビューを開きました。 インタビューの場には黒と黄色の2種類の新製品が用意されていました。 出席ユーザーは口を揃えて黄色が宜しいとしました。 インタビュー終了後帰りしなに主催者が新製品をプレゼントするので お好きな方をお持ち下さいと申し出ると ユーザー其々に皆、黒を持ち帰ったと言う話しです。

永江一石氏の執筆、運営されるブログ More Access,More Fun! の2011年10月11日の記事に…

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ジョブズもいってた、日本メーカーがAppleに負けっ放しの理由 があり、示唆深い内容を伝えてくれています。 ソニーの凋落については残念ながら本ブログでも ソニーの敗北理由iPhone軽視とエリクソンとの分裂騒動 (2011年10月07日記事)などを始めとして何回か取り上げました。 ソニーばかりではなく日本メーカー全体が沈み勝ちな傾向にもあります。 其処には嘗て Japan as No.1 と声高に叫ばれた時の勢いはありません。 この原因を永江氏は 素人の顧客の意見を聞きすぎる と喝破し、それに スティーブ・ジョブズ 氏の発言

  1. 消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。
  2. 製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ
を併せ考察されています。 そして 素人 = ノーアイデア と断言し 消費者を巻き込んでの新企画立案は、プロモーションの意味はあっても、それ以上の意味は無い と結論付けます。 本ブログ運営者も至極納得せしめらる処です。

兎角近年、ゆとり教育と歩調を合わせるか如く、 素人崇拝が横行している気がしてなりません。 時折聞かれる言葉に 素朴な質問 がありますが、往々にして存在感を示したい素人の 頼んでもいないのに話の腰を折るだけの内容の主張で、 真剣に取り組む方々のモチベーションを奪うだけのものであることが多いように思います。 専門的な修練を積まず楽をして油揚だけ掠めようという 性根の卑しさが感じられることも屡です。 そして其処から素人の自己満足以外の何かが生み出されることは決して有りません。 鑿も砥げない連中に木材を穿つことは出来ません。

以上はごくごく当たり前のような気がしますが、永江氏が 経営者自体が素人に近いので、こうした資料が無いと開発にゴーが出ない と記されるように正しく、 素人崇拝の民主主義経営によって泥舟が沈み始めているのかも知れません。 ジョブズ氏が民主主義的に物事を決めていたら果たして Macintosh は、 iPhone は世に出たでしょうか? 世界は変わったでしょうか? まして素人に何を作れば宜しいかお尋ね申し上げるなどある筈もないでしょう。 ジョブズ氏は芸術家にも例えられます。 ではゴッホが素人に何を描くべきか尋ねたでしょうか。 くるくると渦を巻く糸杉はゴーギャンでさえ示唆出来たものではありません。 アヴィニョンの娘達はピカソの、 セントヴィクトワール山はセザンヌの独善から生まれたのでした。 (おまけにピカソ以外は生前に大した評価も受けていません。)

日本メーカーの凋落はしばしば イノベーションのジレンマ として考察され、肯んずるを得ぬ部分も有りますが、 それよりは此処迄に述べたことの方が大きな要因だと思います。 この要因、顧客にお伺いを立てること、ニーズとやらで 新商品を決定することをマーケティング用語で マーケットイン と言います。 市場主導の商品開発の意で、勿論重要事であることに間違い有りませんが、 これが恐らく日本メーカーに於いては 過剰 になっているのでしょう。 民主的と言えば聞こえは良いですが、 責任を取りたくない連中の合議制、 中島聡氏がブログ Life is beautiful に書かれた 逃げ切りメンタリティ の要素も併せ持つ官僚主義の跋扈の表象なのかも知れません。

これに対しジョブズ氏が揮った辣腕を プロダクトアウト と言います。 従来企業側の論理で商品開発する顧客無視の忌避すべき手法と言われて来ました。 しかし過ぎたるはなお及ばざるが如し、 振り子は行き過ぎれば戻るものです。 今過剰となったマーケットイン手法を見直し、 個人が責任を持って商品を開発し世に送り出す プロダクトアウトを少し見直してみる時期に来ているのかも知れません。

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