失墜した信用回復なるか?はてなブックマーク問題で近藤社長謝罪

頃日ネット界隈を大きく揺るがした事件があったことはご存知でしょうか? その問題とは 株式会社はてなはてなブックマーク に関する問題でした。

ことの発端

導火線には既に去年2011年9月より火が点いていました。 大本となる火薬本体とも言える オプトアウト版はてなブックマークボタン は既にはてな社により撤去されています。 ネット上の情報を辿っていくとどうやらM.C.P.C.ブログさんの はてなブックマークボタンのJavaScriptがdocument.write使っていてXHTMLで不具合があったのが直った(または9月1日からオプトアウト版はてなブックマークボタンが出ていた件) と言う記事がこの件に関する最初のブログ記事のようです。 はてなが9月1日に用意した爆弾には1週間も経ぬ内に確実に着火されていたのでした。

事の発端は…

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利用者に訳も分からず出力されるエラーだったようです。 その原因を追いかけられた際にはてなが従来の仕様と異なる仕様と利用者への説明も無いまま はてなブックマークボタンに実装していたことでした。 新はてなブックマークボタンではブログやホームページに設置する者にだけでなく、 それを利用してブックマークをした方、のみならずこれは後から判明したことですが、 何とはてなブックマークの設置されているページを開いただけで行動履歴を収集、 サイバーエージェント社から事業分割された広告配信事業を主業務とする マイクロアド 社に送信していたのです。 詰まり設置者も利用者も知らぬまま己の行動履歴がはてな社及び マイクロアド社に利用されていたと言って過言ではないでしょう。 この開始が2011年9月1日でした。

オプトアウト版はてなブックマークとAdChoices

これを拒否する方法の掲載も有ったそうですが今はネット上に見当たりません。 基本的には運営Webサイトに訪れた方の行動履歴を収集するに当たっては その許可を取る必要が最低限あります。 これを利用者が許可することをオプトイン、 拒否することをオプトアウトと言い現在重要な概念となっていますので本ブログにも

のように扱いました。

ネット上に於ける広告業界に於ける動きには AdChoices があります。 これはオンライン広告業界の Self-Regulatory Program for Online Behavioral Advertising (英語:オンライン行動ターゲティング広告に関する自主的行動規範)に基づき、 ユーザー自身が表示された広告に関する認知と選択ができるよう作成されたもので 英語圏に於けるネット広告には既に多く表示されるようになっており、 日本でも時折見掛けるようになって来ています。 Google社のAdSense日本版公式ブログ Inside AdSense の2011年7月8日の記事 広告の新しいラベルとアイコンについて に詳細が有りますので興味のある方はご覧いただくとして、 世界的にこのような動きが広がる中で はてな社の動きは些か思慮に欠けたものでした。

M.C.P.C.ブログさんでは9月6日の記事を受けて更に9月16日には 企業サイトで設置していたはてなブックマークボタンのマイクロアド行動ターゲティング解析のオプトアウト説明ができる自信がない と言う記事をものしたのも従って無理からぬ処でしょう。 そしてM.C.P.C.ブログさんのこの2記事は歳を越して2012年3月、 炎が広く燃え上がり多く引用される処となったのです。

遂に火薬に発火し火勢盛んとなる

直接の引き金となった記事はこれもネット上の情報を辿ると ARTIFACT@ハテナ系ブログさんの2012年3月6日の記事 はてなブックマークボタンは2011年9月1日より行動情報の取得をしている だったでしょう。 其処にははてなユーザーは尚選択の余地がなく オプトイン版のはてなブックマークしか使用出来ない困惑が描かれています。

この事件に関してはネット上に多くの言及が残されています。 中にも代表的な記事が 最速転職研究会ブログさんの2012年3月8日の記事 ブログパーツやソーシャルボタンの類でアクセスログが残るのは当然だけどトラッキングされるのは当たり前にはなっていない でしょう。 この記事はそれこそはてなブックマークを含むソーシャルメディアによって大いに拡散しました。 ネット上に大きく燃え広がった炎は数日鎮まるのを止めません。 そして2012年3月12日のNAVERまとめ はてなブックマークボタンのトラッキング問題で高木浩光先生が決別ツイートをするに至った経緯まとめ 辺りが最も火勢盛んな時期だったでしょう。 ここら辺に至ればネット上に広く伝播しましたので 一般の方にも知る方は多いかも知れません。

はてな謝罪

そして遂にはてなは謝罪を余儀なくされ 行動履歴配信と共にオプトイン版はてなブックマークの幕切れとなりました。 その近藤社長の謝罪ブログ記事がはてなの日記の2012年3月13日の記事 はてなブックマークボタンから収集した行動情報の第三者提供をやめます になります。 同時に株式会社はてなの今事案に関するプレスリリース的ブログ記事 はてなブックマークボタンが取得した行動情報の第三者への送信を停止しました も配信されました。

これにて取敢えずは鎮火の様相を呈し始め また一応ははてなブックマークを備えるホームページ、ブログも 何の対処をする必要もなくなりました。 しかしおき火は未だ確実にネット上に燻ぶっているものでしょう。

はてなの現状

以前ははてなと言えばその有り得ない程のオープンさが評価されていたように思います。 例えば社内会議などもネット中継したことも有ったように記憶しています。 ところが嘗てのネット企業の寵児、はてなの此処最近の施策は ネット界隈では首を傾げられるものが多くなっていました。 CFOを新規に招いての上場プランは先ず先ず営利企業の目指す処として 肯んじられるものではありますがはてならしくないとは多く言われる処です。 また本ブログでも2011年11月24日の記事 はてなブログの限定アカウントを入手してみた で取り上げた新サービス はてなブログ の評価も全く芳しくなく本ブログ運営者もアカウントを取ったまま 遂にブログは一つも開設運営するに至ってはいません。 はてなブログについてはyomoyomoさんに依るTechnical Knockoutの2012年3月12日のコラム はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか? のような言説も提示されています。

さて既にネットには、決してはてなに益しない記事が溢れたまま残ってしまいました。 本ブログ記事とてその一つと言えます。 ネット上で影響力の大きいはてなブックマークだったからこそ それだけはてなの今回の姿勢の対する反応も大きいものとなってしまいました。 いくらはてなだけが今回に関するドキュメントを削除しても 最早これ等が未来永劫消えないことは ネットにコアコンピタンスを持つはてなとしても重々承知しているでしょう。 その中をはてなはこれからどのように切り抜けて行くか注目したいと思います。