Googleマップの対抗勢力として成長するオープンストリートマップ

2005年登場時には非常なインパクトをIT業界のみならず一般にも与えた Googleマップは2012年の今尚オンライン地図サービスとして 唯一無二の存在ととして在り続けているかに思えます。 その衝撃は本ブログにも2012年1月17日に記事 Googleマップの登場とGIS としてお伝えしました。 果たして他の追随を許さない絶対的なサービスとして君臨し続けるのでしょうか?

アップル社に見られた異変の兆し

実は異変の兆しが見え始めています。 それはアップル社のiPhoneやiPadの基本ソフトウェアである iOSがバージョン5.0から5.1へとバージョンアップする際に見られました。 ガジェット速報の2012年3月8日の記事…

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『脱GoogleMAP』を進めるアップル まずはアプリ内から では其の物ズバリのタイトルが踊ります。 記事には密かに脱Googleマップが始まっている、とされており、 その嚆矢となるのが記事の配信されたと同日に公開された アップル公式の写真アプリ iPhoto だと言うのです。

iPhotoとは?

DS PSP初心者用講座の2012年3月8日記事 アップル公式写真アプリ「iPhoto」がリリース・「iWork」、「iLife」も新型iPadに対応してアップデート などでもiPhotoのiOS版の登場は取り上げられており、 その他もネット上には情報が散見出来るのですが 少々紹介は表面的な部分に留まるようです。

矢張り此処は提供もとのアップル社の公式サイトで確認してみるのが良いでしょう。 上記にリンクを紹介したiPhotoページに用意された iPhotoとは? タブをクリックして見たページには 人、場所、時間で写真を整理しよう とそのソフトウェアのコンセプトが紹介されています。 デジカメの登場以来パソコン内での写真整理は人々の悩みの種でしたが、 アップル社としてのそれに対する解答がiPhotoという標準アプリケーションだったのですね。

此処で注目したいのは 撮った場所で。 という項目です。 以下引用します。

写真を眺めながら「この写真どこで撮ったんだっけ?」と悩む必要はもうありません。iPhotoの「撮影地」機能を使いましょう。GPS対応カメラまたはiPhoneのデータを利用して、撮影した場所をもとに写真を検索したり、整理することができるようになります。GPS対応カメラやiPhoneを持っていないなら、場所の情報を自分で追加しましょう。場所を入力しはじめると、エッフェル塔やエンパイアステートビルなど、場所やランドマークの名前がリストで表示されるので、ここから選ぶことができます。さらにiPhotoは、逆ジオコーディングによって、緯度や経度の座標といった写真の場所情報を、分かりやすい場所の名前に変換します。たくさんの写真に場所の名前を追加したい時は、「イベント」、「アルバム」、または同じ場所で撮った写真のグループを選択し、一度に追加しましょう
写真整理アプリケーションと称しながら これは正しく位置情報サービスです。 位置情報サービスの新しい形が此処にあると言っても良いでしょう。

iPhotoの位置情報に採用されたオープンストリートマップ

そして位置情報サービスの必須なのが地図データですが 此処に採用されているのが大定番のGoogleマップではなく、 オープンストリートマップ だったのです。

オープンストリートマップについては本ブログでも2012年1月24日の記事 オープンストリートマップ~地図情報を舞台としたIT覇権争い に扱いましたように 地図版wiki とも呼ばれるオープンソース的オンライン地図データプロジェクトで 世界中の皆の力を終結して、所謂集合知で作られる世界地図で、 Googleマップには何も依存していない存在です。

アップル社の地図データ戦略

TechCrunch2012年3月8日の記事 昨日のiPadイベントは、物語の前編にすぎない にもアップル社の新型iPad発表イベントについて 一部で以下引用にように地図データへ言及しています。

顕微鏡で液晶パネルの細かいピクセルを確認しているところの 写真に匹適するようなiOSのリークは存在しない。 しかし、わずかな手がかりがある。 AppleはiPhotoアプリの中でGoogleMapsのデータを使っていない。 これは、iOSの地図アプリでもGoogle Mapsデータを使わなくなることを意味しているのだろうか。 それは十分にありうることであり、Phil SchillerがLTEのデモに、 YouTubeではなくVimeoを使ったのも、Googleに対する挑戦の一つだろう。

それはまだほんの小さな兆し程度に過ぎませんし、 代替のオープンストリートマップにも触れられていませんが 何かが静かに胎動し始めていることは確かです。

そしてGIZMODEでは翌2012年3月9日の記事 Google Maps離れ始まった?アップルがiOS版iPhotoでOpenStreetMap採用 にオープンストリートマップがiPhotoに使われている事実を紹介し、 またアップル社が地図データに実に力を入れていることが分かる 買収の具体事例を

  1. C3 Technologies
  2. Placebace
  3. Poly9
と挙げています。 因みにアップル社は本ブログ2012年2月22日記事 アップル社が再取得した位置情報サービス関連特許の影響力 に記しましたように位置情報サービスに於ける実に基本的な部分の特許を取得してます。 地図データと切っても切れない位置情報サービスに 大きなビジネス市場を見ていることは確かです。

オープンストリートマップがアップルに挨拶

そしてご本尊の登場です。 OpenStreetMap Foundationのブログ記事は アップル社が新型iPadの発表の翌日2012年3月8日の記事として Welcome, Apple! を配信、アップル社のiPhotoにオープンストリートマップデータが使われたことを歓迎し 更に多くの人々に従来の著名な地図データからオープンストリートマップに 切り替えて貰えることを楽しみにしている、とコメントしています。

アップル社の仕様データは少々古いものであったり クレジット関係の問題も包含するようですが 徐々に擦り合わせが行われ最適化されていくことでしょう。

Googleマップの対抗馬として急速に浮上

今回はアップル社でしたが各所で Googleマップ依存から脱しつつある動きが見られます。 その一つが本ブログ2012年3月4日の記事 Foursquare(フォースクエア)の劇的変化(前編:OSMの採用) に見られるFoursquare社のPC版に於ける地図データとしての オープンストリートマップの採択です。

またTechWave.jpの2012年3月7日の記事 Yahoo! Japanが”地図界のWikipedia”オープンストリートマップに地図を提供【本田】 を見ればオープンストリートマップを採択するという外からの支援ばかりでなく 自ら有するデータ提供という中からの支援があることが分かります。 集合知を自然に積み重ねるのはそれなりに時間が掛かるでしょうから これはオープンストリートマップに取って大きな力となるでしょう。

これらの情報を受けてのことだと思います。 TechCrunch2012年3月10日の Google Maps APIの有料化はGoogleにとって凶と出るだろう という刺激的なタイトルを冠された記事ではJosh Constine氏が Google社に取って大きな資産である処の Googleマップの有料化は長期的にネガティブに働くだろうと予測しています。

オープンストリートマップのデザイン

オンライン地図データサービスとして徐々に勃興しつつあるオープンストリートマップですが しかしそのデザインには賛否両論あるようです。 本ブログ3月4日の記事にはデザイン的な問題からFoursqare社は ベンチャーMapBox社の地図デザインを変更できるサービス MapBox Streets の採用で解決を図ったとされています。 ベンチャーとしてオープンストリートマップの採択がトレンドとなるかも知れないと Josh Constine氏は予測していますが その際デザインが気に入らなければこの様な選択肢も用意されていることになりますね。

デザインの問題は主観が絡みますから解決の難しい問題ではあります。 見た目が日本の古地図の様なレトロ感を感じさせる 見方に依ってはなかなかに宜しいのではないでしょか

2件のコメント

  1. 防災に必須のハザードマップと地震ハザードステーション

    防災に地図データが重要な役割を果たすことは本ブログでも度々紹介して来ました。それは実際に災害が起きてしまった際には勿論、事前の防災にも役立つものです。ハザードマップこの考え方はハザードマップに活かされています。ハザードとは英語でhazard、危険を意味します。

  2. アップル社iOS6でGoogleマップから独自3D地図へ切替

    iOSの最新バージョン6の動きも活発に、新しく情報などもネット上に散見される頃日です。iOS6情報の嚆矢ともなるのでしょう、地図データに於ける大幅な変更も明らかになって来ました。iOSとは?OSとはソフトなければ唯の箱のコンピュータに他のソフトに先立って最初に組み込ま

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