iTunes Plusの特徴と音声ファイル形式一覧

アップル社が提供のサービスiTunesに於いて 何某かの新企画を打ち出し話題となっています。 公式の当該ページが iTunesの新機能:アップル社 となりますが、注目の的、アップル社の新規サービス提供ともあって キーワードがネット上にも

  1. iTunes in the Cloud
  2. iTunes Match
  3. iTunes Plus
など入り混じれ些か判然しない感がありました。 もう一度確り特に音質に関係の深そうに思える iTunes Plusについて確認してみようと思い立っての本記事エントリーです。

アップル社の新サービス

ネット上に当該案件の関連記事を探せば…

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オンラインニュース提供サイトとしては定評のある インプレス社AV Watchの2012年2月22日の記事 アップル、日本でiTunes in the Cloud開始 -iTunes購入曲をiCloud経由でiOS/PC同期 に行き当たります。 ここにはっきりするのが新しく提供されたサービスは iTunes in the Cloud であって確かに本ブログ運営者所有のiPadでも当該設定は有効となっていました。

ところでもう一つのキーワードに iTunes Match についても明記されており、それに依れば米国では利用出来るものの 日本では未だ対応していないということですね。 また 3Gネットワークでの楽曲ダウンロードに対応Mastered for iTunesアルバムコンプリート・マイ・アルバム 機能なども見られ此方は日本でも利用可能のようです。

iTunes Plusの開始時期と今回話題となった点

同記事内にはお待ち兼ね、 iTunes Plus についての表記もあり、 多くの楽曲がDRMフリー/256kbpsでAACコーデックの iTunes Plusでの配信とされる旨記されていますが、 どうも今回の新機軸としての様子は伺われません。

ではiTunes Plusは今回新規に展開されるサービスなのか? これも有り難いことにインプレス社のAV Watchの2007年5月31日の記事 DRMフリーで音楽配信が変わる? iTunes Plusを試す -ウォークマンでも再生可。アップグレード方法に注意 に詳細があり、閲すればサービスが開始されたのは2007年5月30日と5年も前の話だったのでした。

2007年の記事にはiTunes Plusが従来のiTunesに比べた際の最大の特徴として

  1. デジタル著作権保護(DRM)無し、かつ有償で音楽を配信すること
  2. 音質について従来のAAC 128kbpsから256kbpsにビットレートが引き上げられる
が改善されたとして紹介されています。

何故このiTunes Plusが今回一連の新サービスに混じって取り上げられるのかは オーディオビジュアルのポータルサイト ファイル・ウェブの2012年2月22日のシンプルな記事 アップル、iTunes Store全曲をAAC 256/DRM無しの「iTunes Plus」に を見ればはっきりします。 iTunes Store総ての曲に iTunes Plusの機能が適用されたことでニュースとなったのでした。 AV Watchの2012年2月22日にはiTunes Store内の多くの曲、とありますが どうもこの点が今回情報として錯綜したようで ファイルウェブ編集からも記事内に大半の楽曲と記した初出と異なり、 全曲である旨、記事内にお知らせとして記載されています。

iTunes Plusの特徴

iTunes Plusの特徴の一番目は DRM(デジタル著作権保護)が総ての曲に於いて解除されたことです。 従来はDRMの付与に因って転送及び再生可能な機器数などの制限が設けられていましたが、 この制限が撤廃されることになります。 一昔前からは考えられない措置ですが、 今となってはiTunesを通して購入する方が海賊版として流通させることも また海賊版を利用することもないでしょうから妥当な措置にも感じます。 マスを形成する一般の方は面倒臭い海賊版より廉価になったiTunesでの購入を選ぶでしょう。 条件によっては正規購入者にも関わらず聞けなくなったりする問題も生じた DRMが解除されたことで何より先ずは利用者の便宜が図られることになりました。

二番目にはビットレートが128kbpsから256kbpsともあります。 ビットレートとは単位時間あたりの処理データ量を示す指標です。 本ブログ2011年8月28日の記事 ハイレゾ音源をダウンロードしてiPadで楽しむ にサンプリング周波数と量子化ビット数を取り上げましたが、 音質に於いては基本的にデータ量が多い方が優れたものになります。 この一秒間に処理出来るデータ量が128bitから256bitと倍加したことが iTunes Plusの特徴として記されています。

Wikipedia:ビット毎秒 の項には最新の圧縮技術を使用して一般的な受信者が参照標準よりも悪いとは思わない 最低限の使用例が記されています。 携帯電話では8kbps、固定電話では32kbps、 AAC-LCの1チャンネル当たりの最大が256kbpsで、 従来のiTunesのビットレート128kbpsとの間に 地上デジ音声の144kbpsが挟まれているのが興味深いですね。

音声ファイル形式

さて此処までに時折、iTunes Plusの特徴内にも顔を見せる AAC なるものは何者なのでしょう?

音声や画像、動画などの信号は時と場合に応じた格好に変換しなければ使うことが出来ません。 この変換してまた元に戻すことをデータのcoder(符号化)とdecoder(復号)の 両方から頭だけいただいて codec(コーデック) と呼び、音声については音声コーデック、またはオーディオコーデックと呼んだりします。

データを符号化(エンコード)したものをコンピュータが保管できる形式に誂える必要があります。 これを音声ファイル形式とか音声ファイルフォーマットと呼びます。 更に音声ファイル形式の中でも非可逆圧縮音声フォーマットという 元のデータに完全には戻すことは出来ない圧縮を採用した形式に属するのが AACと呼ぶ一方式なのです。

AACとは

Wikipedia:AAC の項を見ればAAC は先進的音響符号化と訳せるAdvanced Audio Codingの略であり、 1997年に規格化された音声圧縮方式のことと分かります。 またMP3と呼ばれる形式の後継で、更にそのAACの後継がHE-AACであるともされています。 ここにAACも幾つか種類が出てきましたがYahoo知恵袋にとても上手くその違いを説明してくれている記事 HE-AACとAAC-LCの違い があります。 2009年5月16日になされたベストアンサーを以下に引用させていただきましょう。

AAC-LCはAACという形式の基本形で HE-AACとは低ビットレートにおいてもある程度の音質を得られるようにした形式です。 つまり、少ないデータ量においてはHE-AACのほうがきれいに聞こえますが、 ある程度のビットレートになると普通のAAC-LCのほうが有利になります。 それぞれ用途が違うので一概にどちらが良いとは決められません。

iTunesで利用可能な音声ファイル形式

Wikipedia:iTunes利用可能なファイル形式 の項を見ればiTunesはバージョン10現在

  1. MP3
  2. AIFF
  3. WAV
  4. AAC
  5. HE-AAC(バージョン9.0.0.70以降でサポート)
  6. Apple Lossless形式
  7. Audible.com オーディオブック等(再生)
  8. MPEG-4(動画)
  9. H.264(動画)
とされています。 確りとAACとHE-AACがリストアップされています。

ここでアップル社の公式サポートの一連のページ

を見てみましょう。 機械的な直訳調で些か分かり辛い文章ではありますが、 大凡本記事に著した処と大きな差異はないようです。

アップル社サポート2010年8月26日の記事には アップグレードに関する内容が書かれています。 従来のiTunesで購入した楽曲は手元にはDRM付き128kbpsで保有されている筈ですが、 此れをiTunes Plus標準のDRM無し256kbpsに格上げ出来るというものです。 この部分についてはAV Watchの2007年5月31日の記事にも記載がありますが、 本ブログでも機会があれば触れて見たいと考えています。

MP3、AAC及びHE-AACの関係

そして上に上げたアップル社の一連のサポートページを細目で眺めて見るに どうやらiTunesで用いる代表的な音声ファイル形式はMP3とAACのようです。 これを押さえておけば取敢えずはiTunesオーディオライフを楽しめることが出来そうです。

上のWikipedia:AAC の項からMP3、AAC及びHE-AACの関係は MP3からAACへ、そしてHE-AACであるようにされていて 確かに登場の時系列はそうなっているのでしょうがまた、 Yahoo知恵袋の2009年5月16日のベストアンサーを読めば 音質的には一概にそうとも言えないようです。

矢張りPCオーディオファンとして気になるのはその音質でしょう。 それについて参考になる記事が用意されています。 MP3 vs AAC 音質比較! がそれで、MP3とAACについてビットレートごとに周波数分析したデータを公開してくれています。 音質は上限周波数だけで決まるにあらずと雖も 少なくとも強い相関関係がある、とされた上で 上限周波数(カットオフ周波数)を比較・調査されています。 結果として 上限周波数と音質の相関が極めて強いと仮定した場合には AACの96kbpsとMP3の128kbpsは同程度の音質と言え、 128kbps以下ならAAC、192kbps以上ならMP3形式がお薦めであるとのことです。

以上、iTunes Plusに於ける疑問点を調べてみましたが、 オーディオについての話を包含せざるを得なく、 この世界については歴史もあり奥も深いものですから 理解し切ることは困難を極める、と言うより不可能でしょうので、 先ずはPCオーディオを楽しむに基本的な関連事項を挙げてみました。