CIS太陽電池を擁して躍進するソーラーフロンティア

原子力発電についての議論が喧しい状況にあるのは当然ですが 代替エネルギーについても孰れ避けては通れない問題です。 その代表たる太陽光発電が議論を余所に粛々と 漸進しつつあるのは頼もしい限りです。

ソーラーフロンティアとは

本ブログにも太陽電池メーカーとしてソーラーフロンティアを取り上げたのは2011年8月25日の記事 東京スカイツリーを輝かせるソーラーフロンティア太陽光発電 でした。 そのソーラーフロンティア社は今や日本の太陽光発電を牽引する立場にあるようです。 それが@IT MONOistの太陽電池に詳しい一連の記事を閲することで知られます。 本記事では基本的に以下の4記事を参照して稿を起こします。

ソーラーフロンティアとは…

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photo credit: Lights In The Dark via photopin cc

正式には ソーラーフロンティア株式会社 、石油元売企業の 昭和シェル石油株式会社 が100%出資する子会社で太陽電池モジュールの製造販売を営む企業です。 昭和シェルソーラーとして2006年9月に設立され 2010年より現社名となりました。 化石燃料企業が将来を見据えたエネルギー関連事業を目論んだ成功例と言えるでしょう。

世界的広がりを見せる太陽電池市場

@IT MONOistの2011年8月1日の記事 国内最大規模の太陽電池工場がフル稼働へ には冒頭、太陽電池の増産が相次いでいるとし、 日本のシャープとイタリアEnel Green Power、スイスSTMicro Electronicsの3社が それぞれ33.33%ずつ出資した合弁会社3Sun及び米General Electricの工場立ち上げに言及し 3Sun社では2012年には年産480MW、 General Electric社では2013年から年産400MWを予定していることを伝えてくれます。

本ブログ運営者の居住する遠州佐久間ダムを擁す 佐久間発電所では年産13億kW、即ち1,300,000MWですから まだまだ本格的代替エネルギーにはなり得ませんが 漸進していることは素直に評価したく、 また需要も漸次高まっているものと思われます。

記事に本邦ソーラーフロンティアが扱われるのは、 国内ではCIS太陽電池の量産始まる、の段、 ソーラーフロンティア社が宮崎に主要工場を三つ配置し、 太陽電池でもCIS方式のものを2011年々産1GW、即ち1,000MWの企業であることが分かります。 蛇足ですが日立製作所のプラズマディスプレイ製造工場を譲り受け 太陽電池製造工場としたのは或る種象徴的な出来事かも知れません。

CIS太陽電池とは

MONOist8月1日記事末の段では変換効率に話柄が及びます。 これは太陽電池生産に於いては現在重要な事項です。 太陽電池にも幾種類かあり、ソーラーフロンティアはCIS式を得意とするようです。

@IT MONOistの2011年12月22日記事 価格性能比に優れた太陽電池とは には太陽電池で先ず挙げられるのは結晶Si(シリコン)系で、 高効率だが価格が高い単結晶シリコン、 中国メーカーの参入で価格競争が激化している多結晶シリコン、 と2種類の結晶Si系があることを伝えてくれます。

次に挙げられるのが化合物系であり、 最大手は米First Solarで生産規模は2011年予測段階で約2000MW、 他の方式も含め太陽電池生産としては世界最大規模であるそうです。 しかし有害物質の廃棄制限が緩和された現状妥協的産物の感があるともされています。

次に挙げられるのがソーラーフロンティアの主製品CIS系で これは有害物質を含みませんが、変換効率が落ちるのが問題です。 この問題を解決しなければならないのですが、 実はソーラーフロンティアは昭和シェル石油時代から 太陽電池について様々な方式を並行して研究を進めており、 1993年に新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)からCISの研究開発事業を受託したことを切っ掛けとして CISへ研究を一本化したとありますから2012年の今年で29年、 かなり研究成果も上がっているでしょう、 依って大きく事業化するに成功しているのだと思います。

記事には変換効率とは別に長年の取り組みに依る成果として 審査の厳しいミュンヘン再保険から2011年7月に20年再保証を受領されたことも述べられ、 耐久性についても問題ないことが知られます。

更に製造プロセスの違いから量産メリットも生じ易く、 製造時電力も比較的少なく済むことが述べられています。

変換効率については三菱電機の2010年2月16日のニュースリリース 太陽光発電システムの高出力化とCO2排出量の削減に貢献・ 多結晶シリコン太陽電池セルで世界最高の光電気変換効率を達成 に変換効率について有利と言われる多結晶Si系で19.3%とあり、 MONOist記事には現在ソーラーフロンティアのCIS主力モデルでは12.6%、 チャンピオンモデルで13%を超える程度とありますから まだまだ更なる研究が求められるものだとは思われます。

CIS太陽電池の実効性

本ブログで2011年8月25日に取り上げたのは東京スカイツリーに於いて、でした。 そして東京スカイツリーに留まらずソーラーフロンティアは世界最大級の 太陽光発電所に太陽電池を供給する役目を射止めました。 @IT MONOistの2012年1月18日の記事 世界最大級の太陽光発電所、ソーラーフロンティアが150MW分の部材を供給 にそれが詳しくあります。

記事配信の同日、ソーラーフロンティアは 米カリフォルニア州に建設中の太陽光発電所(メガソーラー)Catalina Solar Projectに CIS薄膜太陽電池を供給する契約を締結したと発表しました。 メガソーラーとは文字通り1MW以上の出力規模を持つ太陽光発電のことです。 供給量は150MWで受注金額より先に記されるのが太陽電池の性質を表しているように思えます。

太陽電池を用いたものとしても世界最大級の発電所となり、 完成時には約3万5000世帯の年間消費電力を賄うことが出来るそうです。 こう聞けば最早代替エネルギーの感は有りません。

ソーラーフロンティア社の述べる契約締結に至った理由も取り上げられています。 カリフォルニアの温度条件(高温)において、発電量(kWh)当たりのコストが小さいことが評価された、 ということで他太陽電池方式に比較して変換効率は落ちると言えども 今回の事例のように大規模であるとか自然条件に依っては 実現可能性、実効性に於いては拮抗していると考えて良いのではないでしょうか。

躍進するソーラーフロンティア

CIS太陽電池を擁したソーラーフロンティアは東京スカイツリーにメガソーラーCatalina Solar Projectと 供給先を見ても順調振りが覗えますが、 他太陽光発電モジュール供給と比較した場合はどうなのでしょうか? @IT MONOistの2012年2月16日記事 日本の太陽電池産業、明らかな成長の影で進む構造変化 がその疑問に答えてくれます。

記事が考察の元とするデータは2011年度第3四半期に 国内企業34社が出荷した太陽電池セルと同モジュールについての統計を 太陽光発電協会(JPEA)と光産業技術振興協会がまとめて2012年2月15日に発表したニュースリリース 平成23年度第3四半期及び平成23年暦年値
太陽電池セル・モジュール出荷統計について
(PDFファイル)です。

当該データを過去の推移と比較して浮かび上がる傾向を以下のように二点挙げています。

  1. 成長路線が安定しない輸出と、国内市場の手堅い成長、 さらに国内市場を目指した海外生産品の流入の大幅増加
  2. 太陽電池の種類に入れ替わり、即ち Si多結晶の減少とSi薄膜・その他の急速な伸長
そしてこの手堅い成長を見せる国内市場での太陽電池の種類に於ける質的転換に考察は進みます。 実は成長の主となる太陽電池種はSi薄膜・その他であり、 メーカーの特定を避けるため一緒にされた両者でも過去の経緯、 Si薄膜とその他が分けて集計されている2010年暦年の品種別出荷状況を見れば 先ず、その他として間違いない事象が浮かび上がってきます。 このその他こそメーカーをソーラーフロンティアと特定し得るCIS太陽電池であることは確実です。 CIS太陽電池を擁するソーラーフロンティアは 他社、他種太陽電池と比較の上でも国内に冠たる躍進を遂げていることに間違いありません。 ソーラーフロンティア社は今や日本の太陽光発電を牽引する立場にあるのです。

因みに本ブログ運営者は恥ずかし乍、 此れ等@IT MONOistの一連の記事で初めて太陽電池の出荷量、輸出入量が 太陽電池の生産能力を以て測られることに思い至りました、 となると、売上高、輸出入額、が減っても太陽光電池の生産効率が上がれば 出荷量、輸出入量が上がることもあるということになりますから、 太陽発電モジュールの変換効率は自らの生産効率をも同時に上げることになるのですね。 製造物自体の性能が己の歩留まりを上げる結果に繋がるとは面白い指標だと感じます。

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