Adobe Flash(フラッシュ)終焉と当該報知に見るブログ破壊力

MWC 2011 and Flash Platform: Good Progress and Good Performanceより 頃日Web業界に取って大きなニュースがネット上を駆け巡りました。 震源地から発生した波紋は広く拡がり以下、多くのニュースサイトに取り上げられることとなりました。

その震源地は米Adobe Conversations公式ブログ、若しくは同内容の記事が掲載される ADOBE FLASH PLATFORM BLOG と見て間違いないでしょう。 Flash to Focus on PC Browsing and Mobile Apps; Adobe to More Aggressively Contribute to HTML5 Flash to Focus on PC Browsing and Mobile Apps; Adobe to More Aggressively Contribute to HTML5 Internet Watchからは公式ブログにリンクが貼られていますし、 cnet Japanではニュースソースであることを示すように
HTML5 is now universally supported on major mobile devices, in some cases exclusively. This makes HTML5 the best solution for creating and deploying content in the browser across mobile platforms. We are excited about this, and will continue our work with key players in the HTML community, including Google, Apple, Microsoft and RIM, to drive HTML5 innovation they can use to advance their mobile browsers.
部分と続く
Our future work with Flash on mobile devices will be focused on enabling Flash developers to package native apps with Adobe AIR for all the major app stores. We will no longer continue to develop Flash Player in the browser to work with new mobile device configurations (chipset, browser, OS version, etc.) following the upcoming release of Flash Player 11.1 for Android and BlackBerry PlayBook. We will of course continue to provide critical bug fixes and security updates for existing device configurations. We will also allow our source code licensees to continue working on and release their own implementations.
部分とが抄訳され順番を入れ替えて掲載されていることからも覗えます。

この記事内容を閲すれば…

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発展的内容にも思えますが、 それは大抵の終了時に共通する表現にて、 これも此の手のニュースには共通するように そのニュースバリューの源泉を浮かび上がらせようとする 取り扱いニュースサイトが肝として取り上げる内容は モバイル環境のフラッシュプレイヤーの開発中止 という事案であることです。

Flash(フラッシュ) とは Adobe(アドビ) 社の提供するインターネット閲覧を豊かなものとする技術です。 Flashの登場する迄はインターネット閲覧では 動画に代表される画面が閲覧者の操作に応じて変化するというような ページを提供するのは難しかったのです。 それはクリックしては次のページの出現を待つというものでした。 Flashの登場に拠りホームページは 肌理細やかなユーザー体験を提供することが可能になりました。 徐々に浸透したFlashは 幾つものOS(基本ソフトウェア)、ブラウザ、バージョンに受け入れられ、 標準で搭載される技術となったのでした。 ユーザーがインターネットを閲覧する際、 その利用環境の99%をカバーするとまで言われた程普及したのです。 従ってFlashを利用したWebサイトは何処からでも閲覧可能となることになりました。

しかし少し気取ったWebサイトにしようとするとFlashを持ち出すという状況は 好ましくない状況でもあったのです。 今ではあまり見掛けることもなくなりましたが (そして今見ればそれは悪い意味で驚愕の対象でしかないのですが)、 Webサイトの本題に入る前に延々と流されるFlashの所謂 スプラッシュムービーに閉口されたことはないでしょうか。 閲覧性を考慮しないまま大容量のFlash読み込みを強制されてはブラウザを閉じることも、 時にはFlashプラグインに因を発してブラウザが固まることも少なく有りませんでした。

ところが近年この状況に正面から風穴を穿たれる事態が発生しました。 それを強く実践したのは誰あろう、故 スティーブ・ジョブズ 氏でした。 氏の率いるアップル社のiPhone、 iPad などのiOSを基本ソフトウェアに採用する製品端末は、 断固Flashの搭載を拒否したのです。 本ブログ運営者も企業の相談に与る際、 爆発的に普及して知名度を得たiPadで当該者のWebサイトを其の場で表示して 自社のFlashを使用したサイトが満足に表示されない状態に驚かれたことは一度や二度では有りません。 徐々にFlashの評価は下がり始め、 今回終焉のファンファーレが鳴ることとなったのでした。

今回は確かに飽く迄モバイル環境の開発の停止であり、 デスクトップ環境での開発は継続されるとはアナウンスされています。 しかしマルチプラットフォームのとしての役割はスマートフォン元年と言われる 今年2011年にその機能を停止するとなれば完全に失われます。 提供側に取ってはワンソースマルチユースの開発が不能となり、 今回多くのニュースサイトが示唆するようにこれはFlashの終焉と言って過言ではないでしょう。

因みに一時Flashでホームページを構成することが流行った頃に 自社のノウハウとしてその製作技術を身に付けた業者が 今でも余りネットに詳しくは無いユーザー企業に その関心の惹起性の強さから企画を通し易いことでFlash提案が為されることが多いようです。 これは完全にホームページ閲覧者側の便宜ではなく、 提供側、しかも直接閲覧者と取引の無い制作業者側の都合となりますので、 避けなければならない構図となっています。 未だPCでは開発が継続されることにはなっていますが、 自社サイトにFlashを採用する際はよくよくその必要性を考慮することが必須です。 特にスマートフォンにはPCでFlashを採用した部分に 別コンテンツを提供しなければいけないことになるでしょう。

Adobe社としても自社のサービスを利用してくれる 即ち、Flashの普及に因ってFlash編集ソフトウェアを販売したのが 上記の業者であり大事な顧客であるのですから、 なかなか思い切って切れない、 詰まりはFlashプラットフォームを捨て切ることが出来ないジレンマを抱えていた訳です。 今回の決定は同社の英断と言っても良いのかも知れません。

TechCrunchは2011年11月10日付けで Ben Savage氏による稿を邦訳した Adobeはなぜ失敗したか, Flash-Playerの敗退は歴史の必然だった を掲載してくれています。 スティーブジョブズ氏の言を引用した部分については大いに首肯される処です。 またこのアドビの決定は内部にも波紋を呼んでいることは 2011年11月12日付けのTechCrunch記事 モバイルFlashの死因をAdobeの社員がブログで語る–すべての道はHTML5へ を閲するからに明らかです。 Adobe Flashの終焉については本ブログ運営者もこの稿とは異なる部分で実に多く思うところがありますが、 それは別稿に譲りたいと思います。

そして最後に本記事のモチーフとしての主張は このアドビの決定への内外部へ拡がる波紋たる主張は勿論、 震源地さえブログから発信されていることです。 4マスでも何でもない一ブログが齎す影響力を此処に見ることが出来るのではないでしょうか。 ブログは個人としての情報発信ツールであると共に 旧来のマスメディアに劣らない発信力を持つメディアへと発展していると言えるのです。