アマゾンはKindleを売りたいのではない~低利益率ビジネスモデル

販売が好調なKindle Fire( Kindle Fireは未だ日本では数寄者のもの :2011年12月21日記事参照)は iPad のライバルと目されています。 しかし果たして本当にそうでしょうか? Kindle Fire(キンドルファイアー)を販売するのは ネット書店で有名なAmazon社ですが果たして当該社は本当に iPadの対抗馬として勝利する為にKindle Fireを戦線に投じたのでしょうか?

Kindle App for iPadの投入

RBB Todayの2011年12月22日の記事 Kindle AppがiPadに対応! Kindle Fireに与える影響は? ではAmazonのKindle Storeで扱う電子書籍37万5000点が読める Kindle App for iPad の投入を敵に塩を送るかの如く捉えています。 Kindle Fireも未だ万全ではなくKindle Storeの販売戦略に重きを置いたとされますが、 これは旨い認識には思えません。

少しアマゾンの戦略を異なるアングルから見たいと思っている際に用立つ記事が配信されました。 それは…

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Higuchi.comの2011年12月26日の記事低利益率志向 [Jeff Bezos Owns the Web in More Ways Than You Think] でAmazonの総帥 Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス) 氏のインタビューを基にしたものです。

Amazonの特異な姿勢

Amazonの姿勢を示すに

Amazonは、技術力でオペレーションのコストを下げることで利幅を下げ、 同じ商品(=コンテンツ)を安く早く顧客に届けることに専念していて、 その結果必然的にマーケットシェアを増やしている
とされています。 この姿勢がKindle Fireにも適用される様子がiPadとの関係で言及されます。 曰くiPadは
独自の魅力的なOSやその他のソフトウェアの力で、 ハードウェアの利益率を高くすることで儲ける
とされるに対し、Kindle Fireについては
魅力的なコンテンツを多くの人に薄利でばらまくために、 クラウド上のコンテンツを手軽に消費できるハードウェアを安価で提供する
され、此処にハードウェア自体で利益を上げんとするアップル社との違いが鮮明になります。 アマゾン社は決してKindleと言うハードウェアに依存しようとしているのではありません。 明確に 魅力的なコンテンツを多くの人に薄利でばらまく とし、Kindleなどハードウェアは其の為のツールでしかないのです。

任天堂ファミコンビジネスとのアナロジー

これを見れば想起されるのは任天堂のファミコンビジネスではないでしょうか? 任天堂からファミリーコンピュータが発売されたとき、 玩具とは思えぬ高い性能と廉価のアンバランスから売れば売る程赤字になると言われた商品です。 固より任天堂にファミコン本体で利益を上げる積もりはありませんでした。 差し替え入れ替えするカセット式ゲームソフトから利益を上げる目算だったのでした。 それは見事壷に嵌り、大いに普及したファミコンは 製造技術改善とスケールメリットからファミコン自体でも大幅な利益を上げるようになったばかりか、 ファミコンソフトを制作するサードパーティからも大きなライセンス料金を得るようになったのでした。 アマゾン社にこれに類似する青写真が描かれていないとは言え切れないでしょう。

Kindleの必然的に導かれる位置付け

以上を以てすればKindle App for iPadの投入は必然であり、 例えば多くの電子書籍が読まれる媒体が任天堂のWiiであったならば アマゾン社はWii用にKindleアプリを用意したでしょう。 従ってKindle Fireの動きが芳しくない為、 iPadにもKindleの販路拡大を求めたとするのは本末転倒で、 iPadでは拾い切れない層にリーチする為にKindleはあるくらいのものでしょう。 それがKindleの値付けにも明確に顕われているのです。 例えそれが廉価版iPadであっても一向にアマゾン社の取っては構わない処でしょう。

ベゾス氏はアマゾン社について以下の如く言及します。

技術系の会社は、アマゾンを除いて、かならず利益率が高い。 我々は、利益率が低い唯一の技術系企業だ。
この言及は アマゾンという組織の強みの一因としても、 アマゾン社の意外とも思える姿勢としても、 実に興味深く思えます。 これはAWS(Amazon Web Service)に関連して語られた言葉ですが、 同じ様にその形の一つとして顕れたのがKindleなのだと考えます。

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「アマゾンはKindleを売りたいのではない~低利益率ビジネスモデル」への1件のフィードバック

  1. ネット書店で有名なアマゾンのファッション分野注力に関する考察

    アマゾンと言えばネットショップ最大手で有名です。その主な商品は書籍かと思いきや最近は書籍に留まらず品揃え豊かで最早総合商店、百貨店と言って好いかも知れません。アマゾンのファッション注力とテレビCMを伝える各メディアそのアマゾンがファッション関係に力を入れる

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