Eee PC 衝撃の事後分析

ITproの2008年6月30日の記事 国内メーカーがEee PCを作れない理由 にて云われてみれば確かに充分な技術力を有し乍、 低価格ノートPCの巨大なマーケットの扉を綺羅星の如く居並べどもついに開けずに終わった本邦メーカーは、 其の無念は計り知れずとも、何故此の如き状況を招いたかが、 同記事中に分り易く分析されれば、実に有用な記事と考えます。
当ブログにて同マーケットを取り上げたのは2008年5月30日のアーティクル パソコン・携帯間のニッチの巨大市場への変貌 のマーケットカテゴリー名称の引用は
MID(mobile internet devices) と称し、又 Netbook とも称されているようで、当タイトルの潜在市場規模100億米ドルは今後5年間に於ける見積もりとの由にて、多少の期待値を含む上振れはあるにしても巨大市場に間違いありません。
と規模と共に紹介すれども、 有り体に云えば如何見ても此れは低価格ノートPCとして括られても何の問題無い市場、 更に云えば上記2つの名称 MID(mobile internet devices)Netbook を目にする迄は其の様に考え居り、 穿って見れば先を越された本邦大手メーカーの対面を保つ為の苦肉の策、 後ろ向きのマーケティングとして当該マーケットカテゴリーを捏造せしとは単なる妄想ですが、 上記記事筆者の金子寛人氏が考察される三要素を列挙すれば
  1. 長期的なパソコンの単価下落傾向を受け入れられず、当時は単価を戻そうと保守的な姿勢になっていた。
  2. モバイルノート市場の成長可能性に目をつぶっていた面がある
  3. 小型・低価格ノートの開発に不可欠な「割り切り」に対する国内メーカーの嫌悪感
との正しく肯んぜられる処、更には1.、2.については顧客無視の姿勢にて、 凋落も已矣哉、失うべくして失った市場と云え、 氏の考察の中にも印象的なのは理由1.についての考察中述べられる
それゆえ、ドラスティックな判断は避けてきた。しかし結果としては、国内メーカーの代わりに台湾メーカーが引き金を引いたに過ぎず、国内メーカーが避けようとした市場のドラスティックな変革は、やはり訪れたのである。
については以て他山の石とすべき感があります。
氏は斯くも厳しい評価を下す一方で此の稿の纏めとして
日本メーカーは小型・低価格ノート市場で先行者利益を手にする機会を逸してしまったが、それは同時に、新市場の開拓に伴うリスクが軽減されたことも意味する。小型・低価格ノート発売に向けた障壁は低くなったはずだ。過去の「ガラパゴスPC」の意識を捨て、今こそ世界レベルの競争を見据えた商品開発に取り組んで欲しい。そして、これまで各メーカーが蓄積してきた、モバイルノートを輝かす数々の技術を、今こそ思う存分に活躍させてほしいと願うばかりである。
と本邦メーカーに懇ろに奮起を促しておられるのには、大いに共感せしめられます。