エディオン対ビックコジマ連合~家電量販店の敵は家電量販店か?

家電量販店周りが只ならぬ動きを見せています。 すわ、業界再編か!? と思えば否定する声もあり、 状況は混沌として来ました。

ビック・コジマ連合先制

先に動きのあったのは 株式会社ビックカメラ株式会社コジマ でした。 ロイター2012年5月11日のニュース ビックカメラがコジマを約140億円で買収、経営を再建 や同日のウォールストリートジャーナルのニュース ビック、コジマ買収発表=140億円、家電量販2位に―業界再編加速へ で伝えられるようにビックカメラがコジマを買収することで 業界2位の位置へと繰り上がることになったのです。

ビックカメラは6月26日付けでコジマが実施する第三者割当増資を引き受け、 発行済み株式総数の50.06%を約141億円で取得、 過半数を保有する筆頭株主となり、コジマを傘下に収める形となります。 ビックの宮嶋社長はコジマの社外取締役に就任する体制で コジマの東証上場は維持されるとのことです。

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家電量販店売上高&シェアランキングの変化

家電量販店業界の2010年は平成22年のデータですので 未だエコポイントや地デジ景気の冷め遣らぬ多少古いものとなってしまいますが、 業界動向SEARCH.COMで 家電量販店業界データ を提供してくれています。 売上高&シェアランキングTOP10も配信してくれていますので、 下に5位まで引用させて貰いましょう。

  1. ヤマダ電機:2兆0,161億円:35.1%
  2. エディオン:8,200億円:14.3%
  3. ケーズホールディングス:6,486億円:11.3%
  4. ビックカメラ:5,891億円:10.3%
  5. コジマ:4,382億円:7.6%

これを単純計算で4位のビックカメラと5位のコジマを足して それを元に順位を再構成すれば以下になると言う按配です。

  1. ヤマダ電機:2兆0,161億円:35.1%
  2. ビックカメラ+コジマ:1兆0,273億円:17.9%
  3. エディオン:8,200億円:14.3%
  4. ケーズホールディングス:6,486億円:11.3%
  5. 上新電機:3,856億円:6.7%

業界第3位陥落のエディオンの攻勢

上の再編成に因り業界第3位へと陥落したのが 今迄首位のヤマダ電機に付けていた 株式会社エディオン です。 エディオンではビック・コジマ連合誕生の公表された2012年5月11日同日に 平成24年3月期決算短信発表に併せ、 数多くの施策をニュースリリースとして配信しました。 以下に列挙してみましょう。

  • 平成24年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
  • ストアブランドの統一および新ブランドマーク導入のお知らせ
  • 定款一部変更に関するお知らせ
  • 役員人事に関するお知らせ
  • 当社子会社の株式会社エディオンコミュニケーションズ役員人事に関するお知らせ
  • 当社子会社の株式会社エヌワーク役員人事に関するお知らせ

中にも ストアブランドの統一および新ブランドマーク導入のお知らせ は此処で注目すべきリリースでしょう。 その目的が記されるに、

  1. お客様の利便性が高まる
  2. これまで以上に社員の一体感も高まることが期待される
  3. 重複費用の削減も見込まれることから、経営効率の向上も一層図れる
とされています。

これらと同時に会見の席上で久保允誉社長は ビック・コジマ連合を問われて、 自らの地盤として強みを持つ関西以西に於いての影響の少なさと 業界再編への否定的なコメントを発したそうです。 足元を固めて両社の連携を迎え撃つ構えでしょう。

家電量販店業界の現状

実の処、家電量販店の状況はそれ程芳しいものではありません。 2011年3月の時点で、5兆7千億円を超える業界規模と雖も 一時的なカンフル剤となったエコポイント、地デジ化は沈静化し、 かと言って業界内での競争は激化する一方です。

大凡業界再編が噂される自体が好ましい状況ではないでしょう。 敢えてそれを否定して見せるのも穿って見れば 痩せ我慢、虚勢と言えないでもありません。

実際エディオンの会見の席が用意された平成24年3月期決算短信では 売上高が前期比15.8%減、最終利益が77.2%減と大幅な減収減益を余儀なくされています。

またビックカメラ傘下となったコジマでは、 今後3年程掛け、40から50店舗の不採算店舗を 閉鎖するとしていることも忘れるべきではないでしょう。

家電量販店の敵は家電量販店か?

これは何も国内需要が鈍化傾向にあることだけが原因ではないでしょう。

例えばアマゾンの存在です。 以前はネット書店としてその名を馳せましたから今もそのイメージが強いかもしれませんが、 今では家電にカメラ、パソコンから周辺機器まで取り扱う総合小売へと変貌を遂げています。

またネットで購買行動を喚起する強力なプレイヤーには楽天もあります。 他にもプレイヤーは多数存在します。 従来、家電量販店迄出向いて買っていたような商品を 今はネットで普通に買っている覚えのある方も多いのではないでしょうか?

ネットの販売プレイヤーとしては家電量販店自信も参加している筈です。 しかし家電量販店として実店舗で成功した程の成果は上げられてはいません。 これは新興のプレイヤーにシェアを奪われていることを直接意味します。 そしてそれこそが恐らく家電量販店の考慮すべき問題なのです。

数年前から巷間良く言われるように顧客の購買行動は AIDMA(アイドマ) から AISAS(アイサス) へと移っているとされています。 詰まりDesire(欲求)、Memory(記憶)に検索エンジンによる Search(検索)が入れ替わって実行される購買の後に ネットに依ってそれはShare(共有)されるのです。 今やインターネットの普及に依りオンライン購買行動は 極々普通の行動として認識されていると見なければなりません。

家電量販店同士で西の東の争っている間に いつの間にかゆで蛙と化しているかも分からない状況なのです。 ネット発祥のプレイヤーは5兆円を上回る美味しい市場を虎視眈々と狙ってることは勿論、 家電量販店に何時までも独占させているようなお人好しでないことは間違いありません。