今や日本では検索エンジンに於いて再度の提携がなされているGoogle社とYahoo社ですが、 最初の提携2001年4月から2004年5月及びその提携が解消された2004年6月辺りの ネット上のニュースを閲すれば当時は明らかにYahoo社の方がネットに於けるプレゼンスは格上で、 提携解消についてはGoogle社の将来が懸念されるなど、 今となっては的外れな見解が多く示される状態でした。
Googleマップの登場
そのような状況下、提携解消の翌年2005年に Google社からネット界隈が瞠目するサービスが提供開始され、 Google社の失われぬ勢いをまざまざと感じさせられたものです。 そのサービスこそ Google Maps(グーグルマップ) 、謂わずと知れたオンライン地図サービスでした。
それ迄インターネットでは地図サービスは…
静的なものでした。 即ち開いた地図から東西南北どちらへ移動するにも改めてページを読み直す必要があり、 待たされた末に表示された地域が見当違いならば 再びページを移動しなければならずそれしか方法は無いと知りつつも実に苛々させられたものでした。 其処に登場した地図サービスがGoogleマップでした。 東西南北へ移動するのに改めてページを読み込む必要はなく マウスでクリックしたまま見たい方向へ引っ張るドラッグという操作をするだけで するすると目的の地域が現れたのです。
Googleマップに使われた枯れた技術
この驚くべき技術は Ajax(エージャックス) と呼ばれるものでした。 当時の開発者インタビューがITproの2005年8月29日の記事 Googleマップの開発者が語る注目のWebアプリ開発手法「Ajax」 に残されています。
驚くべきことにAjaxは最新の技術でもなければ Flashのようにリッチなインターフェースを実現するために特化されたプラグインでもありませんでした。 すべてはインターネットの登場と同じくらい古くから利用されている謂わば 枯れた技術 であり、使い古され時代遅れ名物として一旦は廃れ誰もが見向きもしなかった技術の組み合わせだったのです。
Googleマップのインパクト
ITpro記事には開発者としてJim Norris(ジム ノリス)氏と Lars Rasmussen(ラース ラスムセン)氏の両名が挙げられています。 当時の本ブログ運営者に於いては Google社は自社のWebをハッキングした技術者を取り込んだ、 そのハッキングで出来上がったサービスこそGoogleマップだ、 と実しやかに囁かれていたような怪しい記憶があるのですが、 現在ネット上を調べて見てもちょっとその様な情報は見当たりませんでした。 情報の真偽は兎も角も検索に限定されがちなGoogle社の ネット上に於けるプレゼンスを高めたことは確かな事態だったことは この曖昧な記憶からもそのインパクトが推し量られます。
非常に大きな反響を以てWeb界に受け入れられたGoogleマップは 日本語化も併せ改善を重ねながら今に至ります。 2005年2月の登場からの経緯が流石蓄積型メディアのインターネット、 インプレスのInternet Watchの2008年8月11日の記事 関連記事インデックス ストリートビューが話題、「Googleマップ」の歴史を見る として掲載されています。 この記事は2008年のストリートビュー誕生迄の当該サイトに於ける関連記事をリスト化したものですが、 Googleマップの活躍のそれ以降は恐らく折に触れ利用されるであろう読者諸兄の方がご存知のことでしょう。
マッシュアップ
中にも Google Maps API の提供によりGoogleマップの地図データを独自のサイトで利用する Mash Up(マッシュアップ) と呼ばれる手法の魁となり様々なWebサービスが提供されました。 それは今でもホームページで自社の位置を示す地図や ブログに簡単にイベントの位置を示す地図を示すのに Googleマップが用いられていることでもその影響力が窺い知れます。 実用的なGoogleマップの登場あってこそ始めて地図を用いたサービスの有用性が証明され それはインターネットに於いて欠かせぬものとして意識されたのです。
GISについて
実際地図情報は実に重きを置かれて世に認識されています。 ここに GIS なる言葉があります。 これはGeographic Information Systemの略で 地理情報システム と訳されます。 この説明ををWikipediaの 地理情報システム に求めると
コンピュータ上に地図情報やさまざまな付加情報を持たせ、 作成・保存・利用・管理し、地理情報を参照できるように表示・検索機能をもったシステム。となり、国土交通省国土地理院の GISとは・・・ に求めると
地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。となります。 本ブログ2011年8月21日の記事 インターネットで閲覧出来る活断層マップ で扱いました国土地理院の活断層マップもその一つと言えるでしょう。 上記国土地理院の紹介リンクにも
平成7年1月の阪神・淡路大震災の反省等をきっかけに、政府において、GISに関する本格的な取組が始まった。とあるように正しく17年前の本日の大災害に端を発した取り組みの一端と考えられます。
実はGISもインターネットと同じくその初期には軍事目的でした。 本ブログ2012年1月14日の記事 高まる日本版GPSへの期待~予算要求額を大幅に上回る106億円 に於けるGPS衛星とも軌を一にするものでしょう。 このGPS技術と共に一般にもGIS技術の開放され 更には行政がその災害時に於ける有用性に目を向けたものでしょう。 行政として取り組むべきものに先んじて民間主体で取り組まれている代表が モータリゼーション社会の中ビジネスに結びつき易かったカーナビだと考えられます。
GISとしてのGoogleマップ
このように行政からも民間からも必要とされているGISに於いて 21世紀に登場したのがGoogleマップでした。 従来のサービスから遥かに実用的なオンライン地図サービスであることと、 他サービスとの連携を容易にするシステムを兼ね備えたことが GoogleマップをGISたらしめている要因だと思います。 そしてそれはとてつもなく多くの利用者の厳しい目に晒されていることから、 当代随一のGISだと言っていいのかも知れません。
それは民間から起こり更にはマッシュアップされ 近年爆発的に普及の進むスマートフォンからも利用可能となれば 大いにビジネスと結び付けられる可能性を感じさせられ、 更なる技術開発と活用が展開されるものと考えられます。 その過剰過ぎる機能からプライバシーに関する問題も 提起されることの多いGoogleマップですが 例えGoogle社が推進せぬことになったにせよ その有用性から様々な課題を乗り越えながら 同様のサービスは孰れにせよ更なる発展を続けることとなるでしょう。
オープンストリートマップ~地図情報を舞台としたIT覇権争い
去年2011年3月に発生した未曾有の大震災(2011年3月15日記事)大きな爪跡を残しまだまだ日本はその余波の中にあり、復興からエネルギー問題など、それは語られない日はありません。同じ様にして問題の提起されている分野には地図情報があります。災害を考慮した時必要なGISと
GoogleプレイスとYahooロコ~鎬を削る位置情報サービス
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