エルピーダ、NECトーキンそしてSUMCO～凋落するハイテクもの作り

一昔前は日本のお家芸だったハイテクものづくりが近年冴えません。 止まる処を知らぬグローバル化と新興国の圧力がある所為でしょう。 世に配信されるニュースにも余り明るい話題を聞かない感があります。

エルピーダメモリ

本ブログに本邦唯一の半導体専業メーカー エルピーダメモリ株式会社 の厳しい状況を伝える記事 DRAM世界シェア3位のエルピーダ経営危機～メモリーの種類 を掲載したのは本年2012年も明けて直ぐの1月8日でした。 それから一月程を経てもそののっぴきならない状況は…

• エルピーダメモリ 大幅赤字へ（NHK：2012年2月2日）
• エルピーダ、優先株買い戻し準備　政投銀から300億円（日経新聞：2012年2月2日）
• エルピーダ・米マイクロン提携に参加の計画ない＝南亜科技会長（ロイター：2012年1月30日）
• 崖っぷちのエルピーダ　苦肉の救済シナリオ（東洋経済：2012年1月27日）
などのニュースに見られるように好転はならない処か 益々追い詰められる様相を呈しているようです。

NEC及びNECトーキン

日本の代表的家電メーカーNECについても近日厳しいニュースが報じられています。 ブルームバーグの2012年1月26日に報じる処 ＮＥＣ：円高などでリストラ１万人追加、今期は1000億円の純損失に に拠れば 日本電気株式会社 は2009年リーマンショックを受けた2万人規模のリストラに続き、 国内外で1万人の人員削減の実施を発表しました。 業績悪化、人員削減を含む業績予想のプレスリリース 公式に1月26日に配信されています。

以下に26日以後のNECを取り巻く状況のニュースを時系列で列挙して見ます。

• 遠藤ＮＥＣ社長、ＮＥＣトーキン売却を示唆（朝日新聞：2012年1月27日）
• ＮＥＣトーキン２５０人削減　再編へ希望退職者募集（河北新報社：2012年1月28日）
• ＮＥＣ、２期連続赤字で再び窮地－“収益エンジン”弱さ露呈（朝日新聞：2012年1月31日）
• リストラ発表したNECトーキン　ネットに社員が書き込み？「安泰だと思ってたのに！」（J-CASTニュース：2012年1月31日）
NEC本体に端を発した悪循環は関連子会社に深刻な影響を与え ネットにはその悲哀が零れ落ちた様子が見て取れ 様々踏んだり蹴ったりの感があります。

日本の家電メーカーを巡るリストラ情報はNECだけではなく 2012年1月27日のzakzak配信の 家電業界を襲う“リストラ地獄”！ＮＥＣ、東芝、ソニー を見ればパナソニックに東芝、ソニーと 凡そ有名処が軒並み名を上げられてその深刻な状況がはっきりと浮き上がります。

SUMCO（サムコ）

そして本日2012年2月2日にはまた ハイテク関連株のストップ安が株式市場界隈を賑わしました。 株式会社SUMCO の株価です。 関連する本日配信のオンラインニュースを以下に上げて見ましょう

• ＳＵＭＣＯ株がストップ安、大規模リストラで特損1000億円の報道（ブルームバーグ）
• ホットストック：ＳＵＭＣＯ<3436.T>一時ストップ安、半導体材料工場を閉鎖との一部報道（ロイター）
• ＳＵＭＣＯ、半導体材料２工場閉鎖　千数百人削減（日経新聞）
• 生野など２工場閉鎖へ　半導体材料のＳＵＭＣＯ（神戸新聞）

各ニュースから生野工場と、長崎県大村市の子会社の国内2工場の閉鎖と 千人を超える規模の人員削減が大きく市場に影響していることが伝えられます。

SUMCOは1999年住友金属工業、三菱マテリアル及び三菱マテリアルシリコンの 共同出資に拠り設立されたシリコンユナイテッドマニュファクチュアリングが前身の シリコンウェーハ開発製造会社です。 東京証券取引所一部上場企業で シリコンウェハー生産の世界シェアは首位の信越化学工業に僅差の2位を占めています。

去年2011年には全従業員を対象とし希望退職者を募り500人を超える応募があって なおしかし日経新聞2011年12月7日の記事 ＳＵＭＣＯの今期、90億円の最終赤字　黒字予想から を見ればパソコン向け小口径半導体ウエハーや太陽電池向けウエハーの不振を理由に 赤字が避けられないと発表されています。

転換期にある日本のハイテクものづくり

原因は様々あるでしょうが、 これだけ揃って日本のハイテク産業が不振を託つのは 日本に於けるハイテクものづくりが曲がり角に差し掛かっていることが明らかなのでしょう。

去年その若さを惜しまれつつ他界したアップル社の元CEO スティーブジョブズ 氏はアップル社に1996年に復帰し、1997年に実権を再び掌握しました。 Newsポスト７の2010年12月1日の記事 孫正義氏　日本の物作りはアップルのように中国ですべきと指摘 に見られる様に恐らくジョブズ氏と昵懇の ソフトバンク総帥孫正義氏が情報の出元なのではないかと考えているのですが、 アップル社で実権を握ったジョブズ氏は自社の社員にはクリエイティブで 高付加価値の仕事を担わせるべく自社工場を総て売り払ってしまったそうです。

iPhoneに代表されるハードを売り、時価総額世界第一位のアップル社は 実は自社工場を有さずソフトウェアメーカーの様相をも呈しているのです。 若しかしたら日本のハイテク産業は この施策から何某かを学ばなければならないのかも知れません。