位置情報サービスに於いては確固たる地歩を築いた Foursquare社が自社サービスの肝ともなる地図データを PC版のみに於いては創業以来利用していたGoogleマップから OpenStreetMapに移行したことを述べたのが劇的変化の一つとして紹介した本記事の前編 Foursquare(フォースクエア)の劇的変化(前編:OSMの採用) でした。 本記事ではFoursquareに見られるもう一つの劇的変化を後編として記したく思います。
もう一つの劇的変化
それは地図データの変更と言った外部的に要因を持つシステム的なものではなく…
全く次元が異なる、どちらかと言えば内部的要因で Foursquare社が明かさなければなかなか外部からは分かり辛い類の変化でした。 それを伝えてくれるのがTechCrunch2012年3月3日の記事 曲がり角のFoursquare…チェックインをしないユーザが多くなった であり、記事中にはバルセロナのMobile World Congressに於ける FoursquareのCEO Dennis Crowley氏へのインタビューとして氏の言が記載されています。
記事はFoursquare利用者が去年3倍の1,500万人迄増えたこと、そしてCrowley氏の
その製品に対応するためにデバイスをアップグレードしたくなるほどの企業が世界に5〜6社はあると思うが、 うちもその仲間入りをしたんだろうという自社サービスに自負を感じられる言が伝えられます。
中にも興味深い言が
“Foursquareは使うけどチェックインはしない、という人が増えている”。“最初は、こっちが何かまずいことをしたのか、と思った。でも真相は、友だちなどがどこにいる/あるかを調べたり、あるいはリコメンデーションサービスとしてFoursquareを使う人が増えてるんだ。チェックインには、全然関心がないんだね”。でしょう。 驚くことにFoursquareの主要機能であるチェックインを使わない利用者が増えているというのです。 ではFoursquareを何に使っているのかと言えばそれは リコメンデーションサービス として利用しているとCrowley氏は述べます。
レコメンドとは
リコメンデーション、日本語にすれば発音が一定しないのが困る処ですが レコメンデーションとも発音されることも多く、 レコメンド、と元来動詞形のものが日本では一般名詞として用いられることも多いようです。 この語彙を含む有名なものがレコメンドシステムなるもので、 これはネット小売最大手アマゾンを通して知られるようになりました通り、 この商品を買った方はこれも買っています とネットショップ利用者に更なる購入を促すシステムです。 日本語流に言えば 本日のお薦め とでも言ったら良いでしょうか?
即ちFoursquareの利用法としてはチェックインが主だったのですが 継続される当該機能に依ってデータ保有量が或る閾値を越えた為に これを参考として見るユーザー行動が起こり始めたと言う事になります。 これは大きな質的変化と言っていいでしょう。 いみじくもCrowley氏の述べる処が的を得ていると思います。
最初のうちは、誰もがエンゲージメントに力を入れる。 でも、ある時点を境に、大きな変化が起きるんだ。 つまり十分に大きくなると、参加(エンゲージメント)よりもそれは、消費の対象になるのだ。 すごい、劇的な変化だねそれは正しく劇的な変化です。
高まるFoursquareの企業価値
さて訳注がインタビューのこの後は雑談に終始したとして 抄出したこの記事の読後にレコメンドする記事が同じくTechCrunch2012年2月29日の記事 Foursquareはいよいよ既存蓄積データを収益化に活用–投資家は色めきだつがプライバシー問題は? であり、前半は如何に投資家がFoursquareに色めき立っているかが伝えられます。 但し末尾にある同社の公式コメントには
資金の問題については何も申せませんとあり、なかなか投資家に取っては一筋縄では落とせぬ高嶺の花的印象を与えて微笑ましくもあります。
ここで再びCrowley氏の言を見れば前記事の訳注者がレコメンドしたくれた意味が分かります。
Foursquareといえばチェックインとバッジ、と思う人が圧倒的に多いが、とんでもない。 われわれはデータのリサイクル利用により、現実世界〔商店など〕のためのリコメンデーションを作っているのだ本ブログで度々主張している位置情報サービスは バーチャルとリアルの架け橋となる旨、 新進気鋭の企業代表が代弁してくれた感もあり感慨深くもあります。 そしてこのリコメンデーションシステムは同サービスの新機能である Explore であると記事はしています。 何やら何処かで見た漫画のご近所探検隊や更には本邦に古くからあるWebサービス ご近所さんを探せ! の如き印象を持たされますが、これはこの新機能が奇を衒ったものでなく 位置情報サービスとしての正常進化と言うか あるべき姿を目指して備えられた機能であることに所以するのかも知れません。
位置情報サービスは斯くあるべし、的な機能は誰でも考え得る処ですが、 世界的人気を博したことで膨大なチェックイン情報を有する Foursquareのデータ量が他サービスへのアドバンテージとして働けば なかなかにこれに追随は難しいと思います。 だからこそFoursquare社に投資家が色めき立ち、企業価値も高まると言うものです。
サードパーティに見られる新たな可能性
位置情報サービスには本ブログ2012年2月15日の記事 位置情報サービスまとめのまとめ2012年版 にも4つにカテゴライズした中の一つとしてゲームがあり 欠かせない存在感を保っているジャンルです。 例えば頃日にも位置情報ゲームの楽しさを伝える記事がGIZMODE2012年2月28日に いろんな旅先でチェックインしたくなるアプリ「大河ドラマ50ドライブラリー」で旅行をもっと楽しもう! として配信されているほどです。
位置情報ゲームに於いてはチェックイン機能は欠かせませんが、 これを自社で用意しなくともFoursquareの提供を受ければ 位置情報ゲームを世に出すことも可能となるでしょう。
その新たな可能性がけんけん.comの2012年2月22日の記事 foursquareで信長の野望や三國志のキャラの気分を味わおう!!見る専foursquareの「Venue Map」がなかなかおもしろい に見られるように思います。
以上鑑みて言えばFoursquareは 位置情報ゲームのインフラ、プラットフォームともなり得る可能性があるでしょう。 本記事の前編ではGoogleマップの新料金体系を忌避した同社ですが、 若しかしたら新たな収益モデルとして今回のGoogle社のような方針を 採ることもあるかも知れないと思うと面白いですね。 勿論投資家たちはこの辺りも考慮に入れた上でFoursquare社を評価しているのだと思います。
本ブログ2月15日の記事に4つにカテゴライズしたそれぞれが まだまだサービス同士が入り混じって錯綜する状態に はてさてカテゴライズし直しは必須と困惑しながらも 位置情報サービス全体への期待にとても楽しくもあるのでした。
Facebookが一般アプリに位置情報APIを公開
Building Better Stories with Location and Friendsと言うタイトルには如何に多くの意志が感じられることでしょう。Facebookの開発者ブログに2012年3月7日、Alex Wyler氏に依って投稿された記事です。Facebookが新しく提供するAPI人生の魅力的なストーリー作りを支援するシ