物理的な商品よりも扱いの手軽なデジタルデータにしても 従来ネットで販売することはなかなか高かった敷居を一気に下げたことで 頃日大いにネット界隈で話題となったサービスがあります。 新登場爾来僅か半月の間に様々な展開がありました。 本記事に時系列を中心にまとめてみたいと思います。
11日~サービス正式ローンチ
Sahil Lavingia(サヒール・ラヴィンギア) 氏が2012年2月11日にベンチャーキャピタルから日本円にして凡そ8,500万円の出資を得て Gumroad を正式にローンチしました。
13日~日本ネット界隈で話題となる
日本のネット上に大きく取り上げられたのが13日になるでしょう。 TechCrunch に報じられたのがこの日の記事 Pinterestの19歳のデザイナーが起業して110万ドルを調達 ―Gumroadはリンクから支払いができる画期的サービス です。 また同日深津貴之(@fladdict)氏によるfladdictブログの記事 誰でもデータを直販できるGumroad入門。クリエイターの生活は変わる? は1,000以上ものはてなブックマークを集め多くの人に読まれる処となりました。
僭越ながら本ブログ はなまるチェック!でも同日に Gumroadはデジタルデータのネット販売の仕組みを変えるか? なる記事を配信、上の2記事を記事内に紹介しました。 此処迄は当該記事に詳しくありますので宜しければご参照下さい。
14日~早くも警鐘が鳴らされる
流石にお手軽を売り物にするサービスとだけあって、 13日の段階で既に深津貴之(@fladdict)氏が利用されていますが、 続く利用者が相次いで現れ出しました。 そのお一方がVIVID COLORS+BLOGを運営されており使用感などをまとめられている記事が 日本円も設定できる!Gumroadはじめました! です。 円建てについても記されていますね。 同ブログでは其の後の経緯も はじめて1週間経ったので売上や感想まとめました! として10日後の24日に公開されており参考になる方もいるでしょう。
そしてこの日早くもサービスの問題について警鐘を鳴らす方が現れました。 ブログ物語を語ろう。物語を創ろう。を運営される鷹野凌(@ryou_takano)氏です。 この日のブログ記事に Gumroad の危険性について早めに警鐘を鳴らします があり、先ずは取り急ぎのエントリーを投じて、 翌日15日には Gumroad の問題点についてもう少し掘り下げてみました。 を、その翌日16日には Gumroad とレモン市場と9つの提案 を同ブログにて配信しています。 16日記事には解決策の提言迄されており、 それこそその為の資金調達でしょうから今後サービスとして成長を図るには Gumroadはこうした意見を吸い上げる必要があるでしょう。 しかしニフティ提供の @pay とはまた懐かしい名前が出てきたものです。 既に廃止された当該サービスとの類似性を言う人も少なくないようです。
15日~まとめられ始める
Twitterでの遣り取りを残し置くに便利なtogetterに2012年2月15日、 なんでGumroadに苦言まとめエントリ書く人は 『黒いことしてバレると人生ゲームオーバーヤバい』ってことを、 誰も書かないの?イデオロギー的な理由とかなの? がまとめられました。 14日から15日に於けるTwitter上での議論のまとめです。 主には13日fladdictブログの深津貴之(@fladdict)氏と 14日の物語を語ろう。物語を創ろう。の鷹野凌(@ryou_takano)氏との 間の遣り取りを中心にした構成となっています。
この日週アス050PLUSにも 【トゥギャッター通信】号外「Gumroadって何なのさ? まとめまとめ」 と題してtogetterのそのまたまとめを記事にしており、 実際にGumroadを利用してデータ販売してみた人たちのtogetterなども納められています。 また上の、なんでGumroadに苦言…togetterも中には含まれています。
16日~驚異の超速日本語化
この日は何と言っても日本語化のニュースに尽きるでしょう。 ITmediaニュースが以下記事で伝えてくれます。 Gumroadサイトが日本語化 この日本語対応を受けてネット上でも様々驚きの声が上がりました。 これを機にGumroadの日本との親和性についての記事なども見掛けるようになります。
偶然でしょうか、Webサービスがどのような技術を用いているかを調べたlaisoブログの記事 最近のウェブ系スタートアップが採用しているプログラミング言語やフレームワークまとめ に於いて列挙される中の一つにGumroadが有りました 記事に依れば
- Webサービス名:Gumroad
- URL:https://gumroad.com/
- 言語:Ruby
- フレームワーク:Sinatra(?)
- インフラ:Amazon EC2
Gumroadの盛り上がりを受けたTwitterクライアントのモバツイで有名なえふしんこと 藤川真一氏が自身のブログF's Garageで Gumroadと言うジレンマ を公開されました。 考え過ぎからか自ら手を出さなかったことを悔しく思わされたのは四回目と言う Gumroadについては以下引用するような感想を述べられます。
かくも決済をシンプルにする流れ。ソーシャルメディアが存在するからこそ、存在が許されるサービス。誰でも売れるけど誰でも売れはしない。しかし、誰しも何かを買ってくれる人の一人や二人ぐらいはいるかもしれない。そんなところを狙ったサービスとして画期的。
18日~Google Insightsに見る日本でのGumroad
ネットでの実名もとまか氏によるブログ、もとまか日記乙のこの日の記事 話題のGumroadについてGoogle先生に聞いてみました ではしばしば氏が用いているツール Google Insights for Search を使って日本で人気ということを調べています。 この時は世界でも日本、日本でも東京が検索ボリュームの 殆んどを占めていることが示されています。 変わらず本日27日に見ても矢張り国別では日本が圧倒的ですが、 日本国内には多少変化があり、東京のみならず、 神奈川、大阪でも検索ボリュームは立ち上がっています。 下が過去30日間の当該図になります。
その他、氏はTwitterでの状況や、 これらの状況を鑑みた上でのGumroadへの印象に言及しています。
20日~急展開を見せる周辺環境
この日はGumroadの周囲を取り巻く環境に面白い展開が有った日です。 一つはITmediaニュースの当日の記事 Gumroadで“URLぶっこ抜き”を防ぐ「Gumsafe」が登場 に紹介されている@kituneponyo氏に手になる Gumsafe で、Gumroadでは公開されてしまうコンテンツURLを秘匿した上で 販売することができるようにするサービスです。 本記事14日の項には懸念された問題をGumroad自身ではなく サードパーティ的Webサービスが解決策を提供した格好になっています。
もう一つ実に興味を惹かれるのがオルタナティブブログの 村上福之氏による、ネットとケータイと俺様、の記事 Ameroadが生まれてから売却するまでの五日間まとめ に記されています。 何と氏はGumroadクローンとも言うべきサービスを噂だけから作り上げ、 5日目にはそれをYahoo!オークションに売り出して150万円で売ることに成功したのです。 Webシステムは14日には完成しておりその名も チューイングガムに対抗したAmeroad(飴ロード)、 何とも総てに人を喰った感じが面白い。 ITmediaの告知もあり大人気となったこのサービスを出品した ヤフオクでの状態を引用すれば
オークションのページのPVが一日で1万PVを超える。 死ぬほど問い合わせが来る。たいへん。 ほぼ、全員即決150+α万円で買いたいという。と驚くべき事態で19日には150万円で売買契約が成立しました。
この話題も結構な盛り上がりを見せ翌21日にはCNET Japanの記事 本家Gumroadを超えるか 村上総裁が語るAmeroadの今後 で村上氏と共に購入側のラゼスト代表取締役社長の木村仁氏も交え 取り上げられています。
このGumroadに代表される分野は直ぐにも レッドオーシャンに突入するであろうと予測する向きもありますが、 先行する幾つかのサービスが機能を洗練させ、ブランドを築いてしまえば ことはそう簡単には運ばないでしょう。 果たして頭一つ抜けてくるのはどのサービスか? これからどのような展開を見せるでしょうか? 楽しみではあります。
23日~Gumroad一色に染まるWebサービス界隈
驚くべきは毎月話題のサービスやコンテンツを特集するサイト WEBCRE8.jpに於いては、まとめ用のブクマが Gumroad関連のサービスで埋まってしまったために 特別に分けた稿を起こしたとのことで、それが 約一週間でGumroad周りに出来たサイト達 凄すぎるwebサービスの世界 となります。 必然的にGumroad関連サービスのまとめ記事となるのですがその中には 20日に挙げたAmeroadやGumsafeも取り上げられています。
25日、26日~著名人も試用開始
ローンチから僅か半月、 ネット界隈で話題となるにつけ、 デジタルに強みを持つ著名人も試しにGumroadを使って見たという情報が入り始めます。
その筆力に定評のあるイラストレーター 寺田克也氏を取り上げた記事が25日のASCII.jp×デジタルの 作品データが売れる「Gumroad」、 プロ作家から見たらどうなんだ です。 その動機は明快
やっぱり面白そうだからさ。こういうのが好きなんで、ついやってしまう方でしょ?だそうで早くからイラストレーションにPCを取り入れ ペインター使いとしても鳴り響いている氏の面目躍如たる処です。 印刷に使えるレベルの高解像度のものを 僅か2ドルで売り出したと言うのですからまた思い切ったものだと思います。
またGumroadはノマドやキュレーションの提唱者としても有名な ジャーナリストの佐々木俊尚氏の興味も惹いたようです。 26日のTweet Twitter @sasakitoshinao, 2012年2月26日 08:10 は以下のように
メルマガのバックナンバー試しに販売してみます。 1/23配信号「iBookAuthorの衝撃」 on Gumroad! https://gumroad.com/l/SNbと、Gumroadへの販売リンクを含んでいます。 孰れ試験的な意味もあるでしょうが見解が表明されるものでしょう。
27日~そして本記事
これら総ては2012年2月の月も後半に起こったことばかりであることに まとめてみれば今更ながら驚かされざるを得ません。
思った以上の盛り上がりを見せるGumroadに 13日記事に注目するとは述べたものの 早二週間後の本記事の稿を起こすことになりました次第、 問題点を抱えつつも日本に大きな可能性が見出され、 更にどのような展開を見せるかが 周辺環境を含めて実に楽しみなGumroadではあります。