ジョブズ評伝を補完して倍楽しめる~メイキングオブピクサー

画期的コンピュータ、マッキントッシュも そして代表的スマートフォンのiPhoneも この人がいなければこの世に存在しなかった スティーブ・ジョブズ 氏の評伝については本ブログでも何度かお伝えしました。

評伝スティーブジョブズI・II

本ブログに伝えた記事は以下

などです。 これを読めばアタリの ポン で遊んだり、無印マックの頃からアップルに親しんでいる年輩の方などには 充分楽しめること請け合いますがまた、その時期の事情は成る程そうであったか、 などとして裏事情を垣間見ながら追体験出来る書物でもあることもお伝えしたいものです。

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評伝I第19章ピクサー

この評伝は訳本に於いては2冊に分冊された構成となっていますが、 そのIでの後半部にある 第19章ピクサー も当時CG映画が出始めた頃、胸ときめかせた方には面白い章となるでしょう。

副題は本書籍全体に通底する スティーブ・ジョブズ氏の立ち位置を其の儘示す テクノロジー・ミーツ・アート となっており、スティーブ・ジョブズ氏がどのように製品に向き合っていたかが 剥き出しとなる章ともなっています。

氏亡き後、氏を気取ってコードの1行も捻れないくせに ITについてアレコレ言う輩が増えている気もします。 氏に付いてしばしば紹介される内容そのまま、 技術と芸術の交差点に立っちゃっている気になっちゃっているんですね…。

しかし勿論その様なインチキ連中とは 具体的にどの様な違いがあるか良く分かる章になっています。 情報技術で技術が分からなくてどうやって情報技術即ちITが分かるのか? と言う話しだけではなく、取り組む姿勢も参考となるでしょう。 日頃口を出すだけのイカサマ師に辟易してる方には多少溜飲が下がり、 その様なイカサマ師に騙され掛けている方には良い手引きとなるかも知れません。

瓜二つの二人

その第19章に於ける目次構成は以下

  • ルーカスフィルムのコンピュータ部門
  • ジョン・ラセターとアニメーション
  • 『ティン・トイ』の成功
  • となっています。

    容貌は全く正反対のスティーブ・ジョブズ氏と アニメ監督のジョン・ラセター氏、 しかし両者の完璧癖は瓜二つな処は成る程なぁ、と感心させられます。 此処に至る迄のジョブズ氏は失敗続き、 アップルで得た莫大な資金も尽き掛けていました。 しかしジョブズ氏がジョン・ラセター氏に取った態度とは…。 皆まで言うのは已めておきましょう。 読んだ時のお楽しみです。

    さて書物ではしばしば同事象を違う角度から追った資料を用意すると 往々にして更に深められた物語が楽しめるようです。 スティーブ・ジョブズ評伝に於いては著者の ウォルター・アイザックソン 氏がジョブズ氏からどのようにジョブズ氏に不利なことでも 自由に書いて欲しいと依頼されての執筆ですから 只の礼賛書でないのは間違いないのですが、 ジョブズ氏を中心に世界が書かれていることも間違いのない事実です。

    異なる視点からピクサーのスティーブ・ジョブズ氏を見る

    そうは言ってもその様な都合の言い書物が有るんでしょうか? 有るんです、これが。 それが日本では早川書房から2009年3月20日に上梓されている デイヴィッドA.プライス氏の著作で櫻井祐子氏が翻訳された メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々 になります。

    此方の書籍はピクサーの視点から書かれています。 従って飽く迄スティーブ・ジョブズ氏は脇役として登場します。 そしてジョブズ氏側からは見えないピクサーのディテールが覗える内容となっています。

    画期的CGアニメの舞台裏三角関係

    ピクサーがアップル復帰前のジョブズ氏を救ったことは周知されているでしょう。 そして評伝本には当時のジョブズ氏の環境と姿勢が覗え、 メイキング本には画期的なCGアニメを生み出した舞台裏が覗え、 両者はビジネスと芸術に於いて絡み合いながら進展し、 そして世に出たアニメを当時の貴方が見ていた、 そんな三角関係が存在していたと言う塩梅です。

    勿論、メイキング・オブ・ピクサーは単体で楽しめる書物となっていることは謂う迄も有りません。 けれども評伝と2冊併せて読めば物語の陰影は増し、 更に読者を楽しませる世界を脳裏に投影することは間違いないでしょう。