カーナビは自動車に搭載されるためにありますが、
歩行者にだってナビゲーションは欲しいもの、
いえ、いつだって何処かを訪ねるにはドライブスルーでもない限り
最終的には自動車を降りるものですから
返って歩行者用のナビゲーションこそ充実が望まれる分野かも知れません。
歩行者専用モバイル地図サービスLUMATIC
正しく歩行者向け、 他には自転車族、長距離移動には主に公共交通を使う人達向けの モバイル地図サービスがベンチャーキャピタルから資金調達したニュースを伝えてくれるのが TechCrunchの2012年2月7日の記事 歩行者専用の地図サービスLumaticがJoi Ito(伊藤穰一)らから80万ドルを調達 です。 他にも大手の地図サービスはあるけれども歩行者向けに限って言えば それらの行き届かない点に配慮したニッチを狙うサービスとも言えるでしょう。
そのモバイル地図アプリの名前は LUMATIC:Android Market でAndroid版で用意されており、 提供企業のホームページは…
LUMATIC:Webサイト
になりますが記事に依れば
スタートアップ時の社名が
omniar
とあり、
TechStars Launches 11 New Startups In Boulder
を見れば2010年の創業であるようです。
その新規事業に80万ドル、2012年2月現在では日本円にして約6,200万円程の出資があったのですから
なかなかにこの歩行者用地図アプリへの期待は高いのではないでしょうか。
LUMATICの画面
さてそのLUMATICはどのようなアプリなのでしょうか? 公式サイトに Rethinking Maps としてアプリの画面が掲載されています。

一見してGoogleマップのストリートビューを思わせる画面ですが、 その中の大きく黄色い矢印が特徴的でもあり印象的でもあります。 なるほどこれなら従来の地図サービスより遥かに歩行者に優しいものであるでしょう。
しかし同ページの説明には残念ながら今現在Androidマーケットに上げられるアプリは サンフランシスコに限って実用化されたものでであるそうです。 直ぐにもニューヨークとフィラデルフィアでも使えるようになり、 2012年の末迄には更に数百の都市が準備されるそうですが、 さて本邦都市が御目見えするのはいつのことになるでしょうか? 楽しみに待ちたく思います。
LUMATICは如何様に出来ているのか
この期待の地図アプリLUMATICはどのように作られているのでしょうか。 それを見るには LUMATIC BLOGの2012年1月31日の記事 Lumatic Routing が有益です。
英文ですので多少誤読の含まれることを恐れずそれに基づいて此処に記せば 彼らが既存の歩行者用地図アプリを試してみたところ 最高と思われるものでさえ交差点での道筋が示されていないように感じたそうです。 これら既存の不満に対して彼らの考える処のものを手に入れるにはアルゴリズムの改変が必要で この際地図データを開発している訳ではありませんから 既存の地図データの上に自らのサービスを展開するには自ずと地図データの仕様に因る制約もあったようです。
決して易しい作業ではない中、彼らは努力の末堅牢なアルゴリズムを開発することに成功したと自負しています。 青線が利用地図データとして表示されているその上で展開するノードで繋げられた そのアルゴリズムの一端が下の図に垣間見えます。

地図アプリLUMATICのアイデアと将来
かなりアルゴリズムの生成及び必要データの収集に苦労したけれども どうやら実用的なものとなるにつけ資金調達に至ったようで 更にはアルゴリズム及びデータの充実によって 歩行者に有益な地図アプリとなるよう改善が重ねられる予定だそうです。
ことが上手く運べば歩くに大儀な丘なども避けて通れる道を案内してくれるかも知れません。 景色の好いルートの紹介だってあるかも知れません。 最も早いルートや、最も廉いルート、お手持ちの定期券に応じたルート、 それら貴方のお好みを組み合わせての提示だってあるのかも知れません。 どうぞお楽しみに、ということですが成程歩行者に応じた地図アプリとは こんな提供方法があるのかとLUMATICのアイデアに首肯せしめられることも屡に拝読しました。 記される予定は明確なロードマップと言う訳ではありませんが、 これ等は孰れ実装されるでしょうから実に楽しみではあります。
歩行者用地図アプリの身近な需要例
歩行者用モバイル地図アプリには例えばこんな需要もあるのではと思わせる記事に 散歩系ブログに一大革命!POST:KMLで簡単、ルート図付き旅レポ! がありました。 散歩のルートをブログに公開したり友人と共有したい際にどうしたら良いか、 その方法を記されたエントリでその実現には以下
- KingGPS
- POST:KML
- MyScripts
- するぷろ for iPhone
オープンストリートマップとの関係
以上本ブログ記事中に取り上げた歩行者用モバイル地図アプリLUMATICの 土台ともなるのが地図データであることは一つ間違い有りません。 実はそれはTechCrunch記事上にも LUMATIC公式ブログ上にも屡記されているように OSM(オープンストリートマップ) であり、その上での稼動を前提としたアプリであり そのシステムの仕様に合わせられて開発されています。
本ブログにもオープンストリートマップは2012年1月24日の記事 オープンストリートマップ~地図情報を舞台としたIT覇権争い に取り上げました、マイクロソフト社の影響があるとは言え公式にはオープンソフトであり、 商用に利用するには料金の発生しGoogle社の仕様の影響を受けざるを得ない Googleマップとは性質を異にする地図データサービスです。
1月24日記事内にも記しましたが この地図データはプロジェクトに賛同する有志に拠ってボランティアで充実されることになります。 Googleマップが潤沢な資金で一社に拠りデータを収集していくに対し、 当に集合知に拠るデータの充実が期待されているのです。
そこにこのような歩行者用モバイル地図アプリがあると分かれば ちょぃとオープンストリートマッププロジェクトに協力して 充実させてみたくもなろうというものでしょう。 若しかしたらこのようなアプリがオープンストリートマップのキラーアプリとなるのかも知れません。
歩行者用モバイル地図アプリLUMATIC、 孰れセカイカメラのようにAR(拡張現実)でスマホの画面越しに通りを見れば 行くべき道が示されているようになるのかも知れません。 しかしこんなアプリ達がごくごく当たり前に皆さんが持たれるようになったら 街や村の標識は消えてしまうかも知れないと、 ファインダー越しの未来世界を思わないでもないのでした。
防災に必須のハザードマップと地震ハザードステーション
防災に地図データが重要な役割を果たすことは本ブログでも度々紹介して来ました。それは実際に災害が起きてしまった際には勿論、事前の防災にも役立つものです。ハザードマップこの考え方はハザードマップに活かされています。ハザードとは英語でhazard、危険を意味します。