目から鱗のスタバ本~出版界起死回生の一手

出版業界の不況は言われて久しくありますし、 裏付けするデータも多く出されていもします。 構造的な不況も言われ、インターネットなど外圧的影響にも言及される状況下、 日経ビジネス2012年1月4日の橘川幸夫氏の寄稿 大ヒット続ける「スタバ本」の新たな発想
これまでになかったタイアップの構造とは
にはとても興味深い出版に於けるビジネスモデルについて解説されています。 その手法名は記事タイトルにもある通り今の処 スタバ本 とするのが言い得て妙な感が有りますが、 スターバックス珈琲に留まるものでは有りません。 これから多くの企業、組織がこの手法を用いて出版ビジネスに関与するのではないかと予想されます。

スタバ本の発行組織

スターバックス・アートブック 、通称をスタバ本とするこのシリーズを開発・運営しているのは…

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株式会社MATOIPUBLISHING(マトイパブリッシング) でサイトを見ればそれ程インターネットに卓越したサイト構成とは思えませんが、 出版業界に於いては恐らく気鋭であることが覗え 野心的、積極的展開が図られているものと思われます。 其の中で生まれた手法がスタバ本となり、 今や橘川氏の目に留まる処となったのでしょう。 そして企画段階からクライアントと出版社と取次の 三者が一体となって協議することで発行なされ、 それにより10万部以上の流通が可能となるそうです。

スタバ本書名

当のスタバ本には何があるかと言えば記事を見ると 3年の間にすでに以下5冊が刊行されているとのことです。

  1. 市原織江のスターバックスのある風景(600円:2009年)
  2. 蜷川実花が撮るスターバックスのある風景 (600円:2010年)
  3. イラストレーターのtarouスの書き下ろしとなった絵本(780円:2010年)
  4. 雑誌+スペシャル トランプ付き (600円:2010年)
  5. 市橋織江が世界のスターバックスを撮る (680円:2011年11月)

スタバ本の特徴

上記これらのスタバ本に共通するのが ビバレッジカード の存在です。 これこそがスタバ本の肝になります。 スタバ本には総てビバレッジカードが余禄として付いて来ます。 所謂、お負けですね。 このビバレッジカードが何になると言えば スターバックスの店舗に持参すれば600円分の好みのドリンクと引き換えられるのそうです。

※ 但し、スタバ本付録のビバレッジカードには 使用期限がありますので購入の際は注意が必要です。

ビバレッジカードの秘密

一見、クーポンにも見えるこのビバレッジカードですが、 記事では然に在らずとします。 一旦使用すれば書籍代は無料と化すビバレッジカードはまた、 スタバ本をリクルートやフリーペーパーなどの情報誌に見られる 0円本とも異なる性質のものに変貌せしめているともします。 それはクライアント、此処ではスタバですが、にとって 通常クーポンも0円本も広告費で計上されるべきものであるのに対し、 商品の現物提供であり、通常の原価構造の中で処理出来ることになるとします。 そして0円本と決定的に異なるのが流通にも収益が発生することです。 此処では取次ぎがメリットを得ることになります。 そして購買者はビバレッジカードを利用すれば実質無料でスタバ本を手に入れることになるのです。 此処に三者Win-Winの見事な相関図が描かれることになります。

出版ビジネスに於ける構造転換

上に三者Win-Winとしましたが実はここから外される存在があり、 それは広告代理店だとのことです。 これはインターネットの普及により産直などで構造転換が図られた 他の分野にも多く見られる 中抜き の構図でしょう。 実はこの広告代理店が活躍する従来の構造を充分な形が活かした形態が雑誌であり、 雑誌の広告に於いては書店及び取次ぎにメリットが無い為、 書籍に於いては広告が利用されることがなかったのだそうです。 本来書籍の方が雑誌に比較してターゲットを絞りやすいため、 それこそインターネットのリスティング広告のように顧客にリーチし易い広告媒体の筈です。 しかしメリットを受けるのが出版社と出版物には何の関係もない広告代理店であったのです。 即ちこのスタバ本形式に依って初めて 書店、取次ぎの流通と出版社という両者が利益を得る構造が顕現されたのでした。 ビバレッジカードに拠り実現したのは根本的な構造転換と称して問題ないでしょう。 一見クーポンに過ぎないビバレッジカードなるものも 言われてみれば目から鱗の新しい出版に於けるビジネスモデルであり、 根本的な構造転換が図られる革新ともなれば 不況で喘ぐ出版業界に新風を巻き込む端緒と言えるのかも知れません。

スタバ本は出版界のAKBとなり得るか?

スターバックス・アートブック、スタバ本は未だ限定的とは言え 15万部とも言われる部数に見られる様に確実にヒットを重ねています。 上に見て来た用にクライアントはスターバックスコーヒー、 携帯は書籍系のアートブックとした一定の形式を有していますが、 この手法は他社をクライアントにした際にも、 従来広告を活用していた雑誌にも有効なものであることは用意に推測出来ます。 本ブログ運営者などもお好みのファミレスや喫茶店の メニュー引き換えカードがお負けとしてついてくれば 他誌より遥かにレジに持参し易くなるものと思います。 記事にもある様に広告費としてクライアントが費用を全額負担する形式でも無い為 編集内容の自由度についても有る程度担保されるでしょう。 音楽業界に於いてもCD不況は言われて久しい処でしたが、 それをものともせず去年はレコード大賞を受賞したAKB48が5枚ものミリオンセラーを達成しました。 若しかしたらスタバ本を端緒に何某かが動き出し、 不況を突破するようなヒット書籍が誕生するのかも知れません。

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「目から鱗のスタバ本~出版界起死回生の一手」への1件のフィードバック

  1. 書店インストアマーケティングの進化~モール店、自炊、スタバ本

    昨日2012年1月5日に記事にした目から鱗のスタバ本~出版界起死回生の一手に於いて参照した日経ビジネス2012年1月4日の橘川幸夫氏の寄稿大ヒット続ける「スタバ本」の新たな発想~これまでになかったタイアップの構造とはは非常に示唆深い内容であるように思います。昨日の記

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