納期についての少考

@IT自分戦略研究所の落合和雄氏によるコラムの2008年7月17日付の 「プロジェクトはなぜ失敗するのか?」の第9回 納期優先のツケを後で払うことになる開発方法 ではQCT、即ちQ (Quality:品質)、C(Cost:費用)、T(Time:納期)の多くトレードオフ関係にある三者にて プロジェクトマネージャに依り、Tの納期のみ優先され勝ちである旨、述べられています。

世に大きくIT的話題を振りまいたのは2005年11月1日の東証システム落ちを此処では挙げたく、 「東証システムダウン」で検索 すれば様々ページ候補の挙げられる中で、 当件についてAll Aboutでの水谷 哲也氏に依る一連のコラム「企業のIT活用」に於ける2005年11月8日の 記事が詳しく、ページを繰れば3ページ目の 東京証券取引所システムダウンの真の原因とは?:3 に依れば当ブログの2008年6月9日のアーティクル 上流工程に於けるプログラミング能力の必要性 にある老害を暗示する記述も見られる中、
  • ベテランSEが手薄だったのではないか
  • スケジュールに余裕がなかったのではないか
  • 複雑化・高度化するシステム
が項目立てられていますが、 納期的厳しさは孰れ挙げられるべき性質のものに思われ、 其れが何にも増し優先されるのは上記記事の性質上は プロジェクトマネージャの性向に帰されていますが、尚穿てば、 経営陣の納期厳守の厳命にあるかに考えます。
何やら「納期厳守」を開祖の箴言の如く唱える様に、 違和感を覚えたことが此の身にも少なからず有り、 最早幕末の幕閣の東照大権現の鎖国政策は絶対普遍であるが如き感じを受けた上で、 併し乍、上記の如き事がいざ起こった際、果たして厳命を当時の経営陣は責任を取っているのか、 寡聞にして彼等が当時の報酬の何割かを変換した抔は聞いたことがありません。
誰がツケを負うかと云えば、 先ずは顧客、上記例では責任の一端は帰されるべきものからなかなか属性を与え難いものの、 矢張り損害は被る上から東証に、そして東証の顧客株取引関係者、 そして折悪しく事態の発生した時点に現場にいるエンジニアが身を削ってフォローすることになるでしょう。 厳命を下した経営陣、例えば彼がサラリーマン社長であり、尚且つ一線から退けば、 経済的損失もストレス性胃酸過多も様々考えられる負担は一切ありません。

扠、改めて例えば決算や広報上の理由抔、 最重要に捉えられる納期の根拠は実は其れ程、 プライオリティの高いものでは無いのかも知れぬ様に主張のあれば、 一線から退く前の彼ならば額に青筋立て、痙攣し乍、鶏が如き悲鳴に近い怒鳴り声を上げるでしょうか。

此処に其の発売は社会現象迄引き起こす ドラゴンクエスト シリーズは、納期厳守のプロジェクトに真っ向から反旗を翻すが如き存在にも見えるは気の所為ならず、 何度もユーザーに怨嗟を含む嗚咽を漏れさせしむべく納期を引っ繰り返し乍、今尚、ゲーム業界に燦然と輝き、 シリーズ第1作発売より現役として、名実共にトップランナーとして走り続けています。
此の事実は納期と云うものの扱われ方に関して深い示唆を与える様に思います。

然し乍、矢張り納期は此の契約社会に於いては守られるべきもので、 納期より品質を重視すればより良い結果が得られるとは限らず、 此処で上げるは納期決定の困難を含め、納期と云うものの一筋縄では行かぬ、 それは大企業のトップ、更には仮令一国の元首だからといって恣意的にどうなるものでもない、 まるで株価、株相場の如き、最早自然現象、一生物かの如き、一面を見られるように思います。