WebコンテンツビジネスNo.1サイトへの道

此の不況下には多少株価は低迷すとは云え、 外食産業全般が大きく煽りを受ける中乍も、 売上抔財務状況は漸次伸びを見せれば一向に衰える気配の無いのが、 Webに外食産業の情報ネットワークを提供し、 掲載飲食店には販促プランを提供するサービスを展開する ぐるなび にて、メンターダイアモンド2009年3月には ぐるなび創業者滝久雄氏インタビュー が掲載されており、此れより少々古くはなりますが、 詳細を知るに有用な滝氏の自著 ぐるなび―「No.1サイト」への道 もあり、此処にて第1章冒頭にぐるなびの形態を端的に示すかの如き項目が立てられるは 食のトータルサイト、レストランのサポーター とは又上手く約めたものと感心致し乍、 又ぐるなびのビジネスサイトと成功の道を邁進する、 其の秘密の一端を垣間見ることが出来るように感じます。

閲するに先ずは実に驚かされる事実とて、 1985年の公衆回線の自由化を契機として年額5億円、 此れをインターネット開闢の1995年迄の10年間投資し続けたことであります。 如何に先見の明有ると云えども本業の交通広告を糧とする母体NKBをも揺るがし兼ねなくあるは
景気のよかった頃はまだよかったが、 バブル経済がはじけて景気が冷え込んでからは、 わが社でも年間五億円を投入し続けるのはつらくなってきていた。 もちろん収益の柱である交通広告部門からは総スカンである。
と引用されることからも容易に窺い知れ、 単に安価なることを求める事業主のIT及びインターネットへの認識を多く知れば、 其の認識と其れに対する信念は、大いに驚愕に値すべく感じられます。
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但し、良くあるセミナーに インターネットを使って安くて手間要らずで儲かる に似た様な惹句が頻繁に踊り、 其れに引かれて善光寺参りの方の引きも切らぬは、
そもそもメディアにおいて映像のコストが二桁以上も安くなるということは、 これが初めてのことである。 私は、まず「情報系における産業革命を起こすのだ」と結論づけた。
と本書55頁より引用されれば、 此処で適切な投資をどう考慮するかは別にして、 矢張り無理からぬことと思われます。 51、52頁より引用するに
それなりの成果と実績は達成しながらも、 いまだ幅広く社会的にブレークスルーすrまでには至らなかった。 業界関係者からは高く評価されても、 事業として会社は利益をあげることはなかった。 はっきり言えば損をしていたのである。
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それでも私たちは諦めず、 いろいろな角度からこの領域に挑戦した。 しかし他方では、 ブレイクスルーできるビジネスモデルも見えておらず、 将来に向けた自信のある構想ができなかったというのが正直なところだ。
という従来の五億円の損投資を受けて猶、氏の判断は第4章の冒頭に記述される、 24時間のスピード決定と其の際の言辞が、
当面は年間一億円を投入していくぞ
と損切り踏ん切りをつけるは、 後のIPOを知らずばなかなかの大博打と拝察致し、 並大抵では無理な相談かと存知ます。

ぐるなびに特筆されるは、滝氏の初期に於ける投資判断と共に、 其のビジネスモデル、もう少し踏み込んで云えば、回収システムにあると考えます。 其れはマイクロソフトでは売り切りのパッケージであり、 グーグルでは粗其の大半を広告収入が占めると聞き及びますが、 ぐるなびでは閲覧者には課金するを良しとせぬのはグーグルと同様乍も、 ぐるなびを利用して販促を図る飲食店側に課金し、 其れがWIN-WINモデルとして成功している処に肝がある様に考えます。 先ずは登録に飲食店側から月三千円を貰い受けますが、此れのみにては黒字に至らず、 此処から大きくグーグルとは異なり、強いて云えば楽天に似た様相を示すが、 先ずは赤字承知で月三千円にても営業担当者が直接契約飲食店に赴いており、 効果の出始めた飲食店に対し、此れは87頁より引用するに
AEというのは アカウントエグゼクティブ(Account Executive)の略称だ。 広告での代行人の意味で、営業スタッフが店に通って、 更に踏み込んだ販促プランを提案するという営業スタイルだ。
と呼ぶビジネスモデルを用い、効果をあげていることにあり、 また、営業マンに単なる飛び込みセールスとしてのみならぬ、 AE型なる形態を与えモチベーションの向上にも役立つ副次的効果を与えます。

本書にはブービー章が「起業する為の心得」として ベンチャー成功の十二カ条 で構成され、此の最後、第十二条に位置付けられる 「大手参入に対する備えを怠らない」 にも注目したく、何となれば当条の大項目として 利益の一〇%を研究開発費に が立てられ、研究開発費を惜しまぬに依って、 潤沢な資金を振り回す大手からの追撃をベンチャーは躱すべき スピードを得られるのであると述べられ、 大いに参考にし度感じます。

終章に記述さる氏の思想はなかなかに此の身には少々敬遠し度ある部分であり、 織田信長に痛く興味を持つについては好みが同一なる親近感を得られども、 お白州にてカミさんの饒舌を聴くノーブリス・オブリージュが当該個所にて挙げられ、 ちょいと鼻を摘まみ度なる抔はご愛敬、 此れとて啓発書好みな諸兄にはお望みのものと心得れば満足を齎す様に拝察致します。

1件のコメント

  1. ラストワンマイルとは?NTT東日本とぐるなびの協業開始

    ラストワンマイルとは一般的には最寄の電話局から利用者宅迄の回線を言います。最近は利用者側に立ってファーストワンマイルと呼ぶが如く元は回線業者、即ち電電公社の言い様なのですが、近年インターネットが普及するに連れ電電公社の後身、NTTが大きく関与したこともあ

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