農薬を使わない林檎の奇跡

林檎の育成について、どれ程分かっていないかと申せば、 当アーティクルに当タイトルを立てるが如きにて、 農薬を使用しない林檎栽培は何の植物より有り得ないと云うのが常識であるのは、 実は今の林檎のイブの食せし野生の林檎とは最早異なった果実なるらしく、 先ずは其れを本書 奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録 で学んでより、読み進めるに 此の農家の間の常識をも覆す可く艱難辛苦を重ね達成の日の目を見た木村氏の物語にて、 読む者に感動を催させしめるに違いないのは、 NHKで放映され評判を取ったと云う番組の唯の転載ならぬ筆者石川拓治氏の筆力も相俟ってのことは確かとは云え、 其の木村氏の執念ともつかぬ求道者の修行が如き行跡なればこそと感じます。
就中、遂に自決を決意した木村氏が月の谷間に丸々太った野生の林檎を見つけるシーンは圧巻です。

紙面には木村氏の語り口も再現され、 陸奥の国、青森県には古より多くの語り部の登場したとの話にも肯ける様な調子で記述されるも、 又、本書に惹き込まれる要因として挙げられる様に感じます。
今や幾らに値付け様とも飛ぶ様に売れる筈の其の林檎には、 無農薬の林檎が普通になることを願い、尋常の値の与えられているとのことです。

願わくば、 花鳥から昆虫羽虫、小動物に至る迄、我が物顔に駆け巡り花咲く野良の、 生い茂る雑草を掻き分け掻き分け辿り着く立ち木を見れば撓わに実る奇跡の林檎を、 捥ぎり其の場で齧りついてみたいものです。
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