自炊とは?書店と競合するか?

コピー機 PDFファイルなどをパソコン画面で読むのはなかなか自ら進んでするのには腰が退けるようなものでしたが、 iPad などのタブレット端末の普及に伴い、 電子書籍も市民権を得て来たようです。 本ブログ運営者も 電子絵本 を世に出していますが、 タブレット端末で読み物をするという生活スタイルはなかなかに魅力的です。 何せ重くて嵩張る本を何十冊も小さな携帯端末に詰め込め、 出先や移動中に気軽に懐から取り出してお好みの物語を読み始めることが出来るのですから、 何も外に限らずとも部屋の中だって検索で簡単に取り出せますし、 部屋も綺麗に片付いてしまいます。 こんな具合ですから 紙の本をデジタル化してiPadやiPhoneで読もうとする方々が増えて来たのも肯けようってものです。

このように紙の本を購買者自らがデジタル化することを…

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自炊 と言います。 上記リンク先には データを「自ら吸い込む」、「吸い出す」ことからユーザーの間で「自炊」と呼ばれるようになった と語源まで解説されますが、 何やら2チャンネルテーストも感じられる言い得て妙な言葉ですね。 先ず一般の方には通じないと思いますので使用には注意が必要です(笑)。

この自炊を実践するには実際の自炊の鍋釜竈と同じく 結構な装置を必要とします。 デジタル化する基本はスキャナーと言いコピー機のような感じで 原稿を読み取る必要があります。 コピー機は出力先が紙ですけれど、 スキャナーはコンピュータの中に放り込むのが異なりますね。 スキャナーに掛けることをスキャンと言いますが、 書籍をスキャンするのはかなり大変です。 一枚一枚ページを捲ってスキャンしなきゃいけません。 これを自動的に一気にスキャナーに通したいとなると ここは思い切って一つに纏まった紙を(だから本、と呼ぶ)バラバラにしなきゃいけません。 書籍は背を綺麗に綴じてありますからこれを一枚一枚綺麗に剥がすのも相応の難事です。 ここで便利な装置に裁断機があります。 …と此処迄で結構な装置と随分な手間が必要なことがお分かりいただけるでしょうか。 てな訳でこの装置を貸してくれ、使える場所、 及び手間を代行してくれるお店の需要もも出てくるわけです。

そんな訳で自炊代行業者などと呼ばれるお店も増えてきましたが インプレス秋葉PCホットライン2011年10月15日の記事 「自炊の森」が30日(日)に閉店決定、別の自炊スペースが来週オープン にはその一つの閉店が報知されています。 上記Wikipediaにも自炊に於ける 法的問題 が項目立てられるようにこの自炊については様々問題を抱えつつ進行中の話題でもある訳です。 まだ何が良くて何が悪いのかも判然しない中で それぞれがそれぞれの思惑でことを進めている最中なのです。 従って形態を変えた新たな自炊のお店の報知が同記事には同居しています。

代表的な自炊代行業者の 自炊の森 店でしたから穿って見られて、勘繰られるのも致し方のない状況でしょう。 それについてインプレス秋葉PCホットライン10月15日の記事に先行すること10日余りの 2011年10月4日の記事 「自炊の森」が閉店へ、「経営上の理由」
「圧力や収支の問題ではない」
では言及されています。

嘗てレンタルレコード店が世に出始めた頃と同様の状況を呈している訳ですが、 圧力を掛けるとされる側は即ち、自炊と言う業態が世に出回れば損害を被る側です。 出版社であり、印刷所であり、著作者であり、卸業者であり、 従来の流通で飯を喰っていた面々は何某かの影響を受けるのは必至です。 徹底抗戦を叫ばれる方も居ますし、電子書籍に歩み寄る方も居ます。 そんな中にも書店は大きな影響を被る業態だとされます。

街の書店は著作者から読者への流通の中でスポイルされてしまうのではないかと懸念されています。 近年はアマゾン書店に代表されるネット書店の勢いが増すばかりです。 それだけでも打撃である上に電子書籍化が進めば身の置き所がなくなってしまうのではないかと 不安に陥ってしまうのも当然でしょう。 その様な状況下にあって電子書籍を遠ざけることが果たして書店にプラスとなるか、です。

嘗て書店と言えば街の本屋さんを想起しました。 どの街にも一軒はあった間口一軒、3~4坪で営業する三チャン書店です。 店番には厳しいじいさんもいましたし、言葉のきついおばちゃんもいて、 サザエさんの漫画でお馴染みのハタキを持って立ち読みの邪魔をする様は今思えば微笑ましい (アニメ版サザエさんは長寿番組ですから今となってはこんなシーンはないのかも知れません)。 それらは今やなかなか存在出来ぬ状況となり、 大手書店チェーンに入れ替わった感があります。 時代は移り小型の店舗を蚕食した その大手書店チェーンも今、岐路に立たされているということになります。

孰れにせよ、書店が集客、販売に関して課題を抱えていることは確かで、 それを解決せんとしてでしょう、 現在は喫茶店や、レンタルビデオなどとの複合店舗型の書店が目立つ様になりました。 ここでそれら複合の一端として自炊コーナーが書店内にあったらどうでしょう? 買った本を其の場で解体するのは多少心が痛みますが、 帰りには手持ちのスマートフォンに店頭に並んでいた書籍が収まっているという寸法ですから わざわざ重い思いをしを持ち帰る必要もなく、部屋に荷物が増えることもありません。 自宅から遠く離れた出張先で本を購入するにも便利になることになります。 お客さんは自宅から持ち込んだ書籍を電子書籍化することも出来ますし、 序でに新刊をながめて貰える事も出来るでしょう。 自炊の代行については問題も有るようですが可能ならば 併設のカフェで書籍を読んでいる間に電子書籍化が出来てしまえば 喜ぶお客さんも多そうです、 と言いますか本ブログ運営者的に書店内をぶらつきつつ書棚をながめながら この如き妄想をしたことは数知れないのでした。

勿論、書店自炊コーナー設置は多くの問題を抱え、 実現には並大抵でない困難を伴いそうです。 実現しても紙媒体から電子書籍への端境期限定のサービスかも知れません。 しかし、端境期だからこそ、 書店内で業務用端末と顧客手元の携帯端末とを連携させ、 情報媒体を遣り取りすることには将来に向けての意味がありそうです。 其処にはネット書店に対抗する何某かも含み置かれているような気さえします。

本ブログ運営者は書棚の背表紙を見、 気になれば手に取って矯めつ眇めつしつつ、 書店内を徘徊するのが趣味でもありまして、 是非とも街の本屋さんには消えて欲しくない強い意向を持っております。 地方のこととて二昔、三昔前から思えば大型化した書店は 車で乗り付けるのが常となっていますが、 駐車場が駐められないくらい繁盛しているのを見ると嬉しくなってしまいます。 本記事はそんな書き手が書籍流通の端境期に岐路に立つ 書肆へのエールとして稿を起こしました。

2件のコメント

  1. パンチ紙テープリーダーTR-01は書店を救うか?

    本ブログ運営者が高等教育でコンピュータを学習した頃、コンピュータへの入力と言えばパンチカードが主流でした。パンチカードと同様の理屈で穴の開いた紙をデータの記憶媒体にするものに紙テープがあります。些かレトロな感じのする紙テープ、昔の映画やアニメに登場するコ

  2. 書店インストアマーケティングの進化~モール店、自炊、スタバ本

    昨日2012年1月5日に記事にした目から鱗のスタバ本~出版界起死回生の一手に於いて参照した日経ビジネス2012年1月4日の橘川幸夫氏の寄稿大ヒット続ける「スタバ本」の新たな発想~これまでになかったタイアップの構造とはは非常に示唆深い内容であるように思います。昨日の記

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