頃日ネット上を賑わしているキーワードに SOPA法案 があります。 SOPAは the Stop Online Piracy Act の略で2011年10月に米国下院にLamar Smith議員により提出されました。 オンラインに於ける海賊行為の停止、防止、撲滅を狙った要旨となっています。
ハリウッドを擁する米国ではコンテンツの海賊版の横行が甚大な被害を及ぼしているとされ、 それを何とか防ぎたいが為に草案されたとのことですが、 その過激とも言える内容の為、多くのネット企業を始めとしたネット界隈が猛反発を示していると聞きます。
このSOPA法案についてはネット上にも多くの日本語で記された資料が見付かりますが、 5ページに渡り詳細に分かり易くした記事を配信してくれているサイトがあります。 それは…
現代ビジネスの2011年12月24日の記事 反対派からサイバーテロ予告まで飛び出した!海賊版撲滅を目指す「SOPA法案」を推進する米国議会の背景に「エンタテイメント業界利権」と「インターネット支配」 です。
記事ではSOPA法案の過激な点として以下を挙げています。
- 裁判所の許可を得て、米国司法省は海外にある違法コピーサイトの発見捜査をすることができる
- 裁判所の許可を得て、米司法長官はISPや広告ネット、決済機関に対し、違法サイトとの取引停止を命令できる
- 違法サイトを排除するため、ドメイン・サーバーへの干渉を認める
反発するネット側とは逆に、このSOPA法案を応援する方面もあります。 記事ではそれ等、映画スタジオ、CATV、音楽スタジオなど エンターテインメント業界から具体的に
- MPAA(Motion Picture Association of America)
- RIAA(Recording Industry Association of America)
- ソニー
- ディスニー
- コムキャスト
インターネットの発展に米国が大いに寄与したのが歴史上確かな事実です。 しかしインターネットが米国一国の都合に左右されて良いものではないグローバルな存在であることも確かです。 米国に取っては飼い犬に手を噛まれた感覚に陥るのも分からないでは有りませんが、 最早インターネットは米国の埒外にあることは確実で、 其処では議会に拠る決定で物事が進むようには出来ていません。 あたかも生物の環境に適応するが如く、あらゆるベクトルが統合された方向にと インターネットは進んで行きます。 それから考えれば今回の米国のSOPA法案も中国のインターネット検閲と同じき影響を与えるに過ぎず、 余り気にすべき事態ではないのかもしれませんが、 米国はそのことを自覚する必要があるでしょう。
固より国家に於いて利害調整に努めるのが政治家であり、 エンターテインメント業界を代表して利益獲得に努めるメディア族議員も己の職務に忠実であるだけでしょう。 これは国家というシステムの中では当然のことではありますが、 国家を超えたグローバルなものとしてのインターネットにその矮小な存在が言及する処に根本的な問題があるようです。 大航海時代より明確に意識され始めた国家はこの時より矮小化を始め、 インターネットと言う目に見える国家を超えるグローバルな存在が登場したことで より一層顕わになったと言えるのかも知れません。
なおネット界隈に於いても海賊版の横行を許容するものでないことは記しておくべき必要があるでしょう。 ネット方面の意見としては矢張り一国家の恣意的なインターネットへの容喙への反発であります。 Richard Stallman氏のドイツでの コンピュータネットワーク時代における著作権とコミュニティ をテーマとして講演を元に ZDNet Japanでは以下
- ストールマン、オープンソースの流行に複雑な心境 Linuxには一定の評価:2011年12月21日
- ストールマン、現代の電子書籍に抗議 企業が規定した読書体験しか得られない:2011年12月22日
- ストールマン、著作権のあるべき姿を提案--「Facebookに私の写真を公開しないで」とも:2011年12月24日