企業体拡大の是か非か

書肆にてその書名を拝見すれば なぜ会社は大きくすると潰れるのか とあるを天の邪鬼にも、然れば当ブログ2008年9月1日の 挙式ビジネスから大リーグまで で書評は 勝ち組ビジネスパースンの統計学 に登場の トヨタマクドナルドセブンイレブン も存在するまいと、高を括って拝見するに、 今となって思えばと己の分を見誤れるを充分理解し乍、 更に今もたらればの悔恨の念に思い悩まされるはなかなかに身につまされる思いがします。

作中にも記される如く、往々にして経験者とは申せ 上梓されるは成功の経験、成功譚が大勢を占め、 失敗譚もあれども管見に著者の充分に立ち直っての後、 若しくは失敗者に代わりて代理の者の記す処なれば、 其れなりの資本金を有す企業体を破産せしめるも生々しい、 無念の色も濃き、臍を噛み締める時期に著述、出版の為されたことが本書の価値に思います。

挙式ビジネスから大リーグまで

当ブログ2008年5月8日のアーティクル 21世紀日本発 超高層免震技術 での 1兆円市場を拓いた男 の書評に
タイトルも私の様な愚かな人間が手に取りやすい安っぽい「一兆円産業」抔が踊りますので
と記したをなぞるが如き、此度書肆にて手に取りレジへと運ぶ冊子の表紙に踊る言の葉の 勝ち組 とは又もや根性も浅ましきを窺わせる其の当の書籍名とは 勝ち組ビジネスパースンの統計学 なる、専攻を応用統計学とする経済学博士、福井幸男氏に依り上梓されし、 決して専門知識を必要としない雑学的な読み物ビジネス経済本の、 本アーティクルのタイトルは其のサブタイトルに縁るものにて、 挙式ビジネス とは元は貸し衣装業を営んでいた ワタベウェディング が経営者独自の統計的データの着眼点に依りビジネス展開の業態、 大リーグ とは球界にて知る人ぞ知るセイバーメトリクスの創始者、 ジム・ジェームズ 氏の打率、打点、防御率は数値として、犠打は戦略として無用にて、 其の主張こそ松坂、岡島両投手の所属するボストンレッドソックスを、 バンビーノの呪い より救出せしめた立役者とも噂され、 扨其の最も重要視する数字とは、、、
は本書162、168頁をご一読の程のあられたく、 以外にも
  • トヨタ(128頁大野耐一元副社長)
  • マクドナルド(142頁レイ・クロック氏の標準化)
  • セブンイレブン(146頁POS導入時NEC社長)
抔(括弧内特筆エピソード)、錚々たる企業の成功因を統計学的見地から、 門外漢に判り易く、簡便なる説明のなされています。
上記にて勿体振り、出し惜しむ程に興味の惹かれた ジム・ジェームズ 氏譚の他にも、 ヘルプセンターの設計に際し、 一日に掛る電話本数にオペレーターの対応できる本数、 例えば10本の対応の可能なオペレーター10人が居れば、 一日に100本の電話が掛けられた際、 一人一人の待つ確率は本書57頁に拠れば 100% 、抔も一寸した謎々として面白く、 又、巷間囁かれる統計の嘘に関しては 相関分析 の手法を取り上げることで説明されています。

116頁から数頁を割く百貨店のエピソードでは、 国民的アイドルフーテンの寅さんの啖呵売でも御馴染、 東急百貨店として其の歴史を全うした、 白木屋 や、米経営学会双璧、 ピーター F.ドラッガーマイケル E.ポーター のエピソード抔、 ビジネス入門書として充分に楽しめる書籍でした。